小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

雲のその先

INDEX|1ページ/1ページ|

 

「悲しくなんかない」
 それは強がりだったのかもしれない。
「君が悪い」
 それは言い訳だったのかもしれない。

「君の暖かさ、笑顔、仕種、におい。今も、いや、今だからこそ、色濃く僕の中に残っています」

「天真爛漫で、純粋で、少し天然で。取るに足らないことでいつも怒っている僕が、なんて小さいのかいつも思い知らされて」

「ゲームは上手ではなかったけど、何故かカードゲームだけはうまかった君」
「お酒に弱いと言いながら、ワインを飲み、真っ赤になりながら、それでも懲りずに飲んでいた君」

「寂しがりやのくせに、友だちは少ないと言って、いつも僕にまとわりついていた君」

「今はまだ、君はこのあたりに居るのだろう。だから、泣かない」
「君を送るのに、涙は似合わないと思うから、今は泣かない」

「明日、誰もいないところで、ひっそりと悲しみに浸ろうと思う」

「そんなことを言うと、君は、辛気臭いと太陽のような笑顔で言うのだろうけれど、明日だけは許してほしい」

 抜けるような青空へ旅立っていく、君へ。
 僕はいつ、そっちへいけるのかな。もし、居心地がよければ待っていてほしい。
 雲のその先の、青い空の下で。
作品名:雲のその先 作家名:志木