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養護教諭 安芸原素子

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 オネエサンの体はなかなか思うようには動いてクレナイ。なにせ『久しぶり』だ
もの。こんなに『ほんとうの身体』って重く、熱く、痛い程に神経が張り巡らされ
てイタンダ。

―アノ人は前の街のプレハブで会った時と同じよう、目をギョロギョロさせ、肩を
いからせている。あの時ワタシには体はなかった。怖い、思い出とともに亡くして
しまっていたわ。それでもずっとあそこで応えてくれる人を、ワタシは待っていた。

寂しくて、心細かったワタシに、言葉をかけてくれたあなた。怒ったワタシに本気
でぶつかってきてくれたあなた。自分から『扉』を開けてくれた、あなた…だから。

「先生、どーしたんスか? さっきから独り言いったり、妙な体の動かし方して。
まるで操り人形の…え?」

きょとんとしている彼を、オネエサンの腕が、優しく包みこむように抱きしめる。
目線は同じくらい。大好きな歌手の舟木さんより、ちょっと線が堅いかな。彼の厚
い胸から伝わる鼓動が、少しだけはやくなった…。

作品名:養護教諭 安芸原素子 作家名:JIN