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Minimum Bout Act.01

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 シンとトレインがその様子に手をこまねいていると、1人の警察官がやって来てトレインに耳打ちをしてメモを渡した。それに素早く目を走らせると、トレインが口を開く。
「すみません、リードさん」
 口喧嘩がエレンとカッツの2人に絞られた所で、ガイオが汗を拭いながらトレインへと体を向ける。が、
「いい度胸じゃねえか! ちょっとツラ貸せや」
「のぞむ所よ。お・じ・さ・ん!!」
 カッツとエレンが2人して応接室を出て行く様子に頭を抱え、ガイオは大きなため息を吐いて項垂れた。
 あまりの状況にトレインがガイオを慰める。
「娘さんには退席してもらっていた方がいいでしょう。カッツはああ見えてちゃんと考えてますから、心配いりませんよ」
「はあ。出来の悪い娘でお恥ずかしい……」
「いいえ。あの年頃の子どもはどこも同じです。ところで質問なんですが」
「なんでしょう?」
 ようやく静かになった応接室に、全員がほっとする。
「娘さんが10年前に事故に遭った時の事を詳しく教えて頂きたいんですが……こちらで調べた所、奥さんはその事故の時に亡くなっていますね」
「はい……」
 苦しそうな表情になると、当時の事を思い出しているらしいガイオが頷き、ぽつりと話し始めた。
「妻の実家へ帰省する為、私がチケットを手配しました。本当は私も一緒に行く予定だったんですが、社長になったばかりで仕事の都合が付かず、妻と娘の2人だけで帰ったんです……事故の事はニュースで知りました。すぐに警察からも連絡が来て、私は生きた心地がしないまま現場へと向かいました」
「確かカシズーの空港へ向かう途中の事故でしたね。随分大きな事故だったのでよく覚えています」
 トレインとガイオの会話に、シンは集中して耳を傾ける。外を見るとカッツとエレンはまだ言い合っていたが、おそらくここの会話はシンのインカムを通してカッツにも聞こえているはずだ。……スイッチを切っていなければ。
「現場に急行した部隊と警察の話しでは、飛行機は原型を止めていなかったとか。生存者はたったの4名で、その中の1人がエレンでした」
 事故の事は大々的に取り上げられていた為、戦地にいたカッツや同じように軍に所属していたシンの耳にも入っていた。
作品名:Minimum Bout Act.01 作家名:迫タイラ