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しらとりごう
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ブローディア冬

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『ブローディア冬』



 ばあちゃんちのある町は何もない田舎だ。ひまでひまでしょーがない。でも唯一、ルイがいる。
 ルイはばあちゃんちの茂りに茂った庭とその横の芝生が大好きで、夏はいつもホースの水ではしゃいでいた。俺もたまに一緒にずぶ濡れになって遊んだりしたんだ。
 ルイはフワフワのブロンドヘア。夢みたいな蜂蜜色で、太陽に照らされると眩しい。瞳は深い海の色で……。そして強くて優しくて頭がいい。

 そんな思い出話をたしか夏休み明けに石間に話したことがあった。

「ルイが人間だなんて聞いてなかった」
「まさか犬だと思ってたなんてびっくりだよ」

 冬休み、俺は石間と一緒にばあちゃんちに来た。
 勉強合宿と見せかけた旅行とも言えて、来年は就職するつもりの石間には旅行の意識の方が強いと思う。俺は国立大学を狙ってるから……半々。いや、でもこのウキウキ気分は受験生には毒だよな、と思うくらいには浮かれてる。
 そう、年越しすぐに急遽決まったこの合宿は、俺、かなり楽しみだったんだ。だってどうせ勉強するなら石間の横がいいし、休憩中に石間の笑顔が見たい。
 ばあちゃんちについてから石間はひどく不機嫌で、そのままルイに会うことも待たずに、シャワーのない風呂場に籠ってしまった。

「今時の子はせっかちだねえ」
「……ルイはまだ研究所?」
「そうだねえ、あと30分もしないで帰って来るよ。あんたもお友達が出て来る前に荷物片付けちゃいなさいな」
「はーい」


 10畳の客間。
 石間の部屋より俺の部屋より広い上に無駄な物がないせいで、旅館の客室みたいだ。……なんて初めて思い付いたことだけど。そう意識してしまうと、襖の中の布団に罪悪感まで感じてしまう。これから2週間ちかくここで過ごすのに。
 石間と、ほんとにふたりで? うそみたいだ。そんな時に石間の廊下を歩く裸足の足音が聞こえて、思わず据え付けられた姿見でどこかへんじゃないかな、なんて確かめてしまった。

「裸足じゃキツいな」
「そりゃそうだ。はやく扉閉めて入っちゃいなよ」

 暖房器具を窓の下から引っ張ってきて二人の間に置く。石間はそれをまた窓の下に追いやって、足を座ってる俺の胴体に巻き付けた。

「暖まるうー」
「ばっか、なにすんだよ」
「悪い悪い。ひとんちだから緊張して疲れちまって」
「俺とは疲れない?」
「疲れないよ、木野だもん」
「なんだそりゃ」

 俺はスポーツバッグの中から物を出している途中だったが、そのバッグのなかにいきなり腕を突っ込んだ石間が笑い出した。もう体は離れてる。

「うっそ、わざわざ枕持って来たの!」
「これ好きなんだ」

 石間がネコの耳を引っ張って黙る。

「ホントに好き?」
「ああ」
「ルイさんよりも?」
「なんでルイが出て来るかなあ」
「なあっ」
「好きだってば」

 俺が軽く怒鳴ったところで、背後の襖がすらっと開く。

「スキ? ヤキ?」

 ルイだった。

「あ、ルイ!」
「……うわ有り得ねえ」
「え? 石間、なにが?」
「……。」
「もう、二人とも、スキヤキ始めるよ」

 ブロンドヘアでグレーの混じった青い目で、背の高いルイはニッコリと笑って俺の手を取った。石間は反対側の手を取って、俺はちょう歩きにくい感じで食卓に連行されたのだった。
 なんとなくだけど、石間は前より背が伸びたようなことに気づいて、改めてドキドキした。

作品名:ブローディア冬 作家名:しらとりごう