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ある老人の話(オリジナル短編)

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昔々ある国の王様を守る軍人さんがいました。
軍人さんは年を取ったので今はお城の近くで一人で暮らしています。
たまに近所に住んでいる子どもたちが家の前を通る以外は、まったく静かなものです。のどかな風景によく似合う、穏やかな老人でした。



ある日、退屈した近所の子どもたちがおじいさんの家に忍び込みました。
おじいさんが大切にしていたティーカップを盗もうとしていたのです。
おじいさんはお茶の時間が大好きでした。今日もお茶を飲もうといつものように台所へ行くと、そこには子どもたちがいるではありませんか。
おじいさんはびっくりして子どもたちをじっと見つめました。
子どもたちもびっくりして一斉に逃げ出しました。



その時です。



一人がティーカップを割ってしまい、めそめそとなきはじめてしまいました。
色々なことがいっぺんに起こってしまったのでおじいさんは口もきけません。

やがて、ティーカップを割った子どもが、小さな声で謝りました。
おじいさんは子どもが泣いているのを黙ってみていられませんでした。

「なあ坊や、一緒にお茶を飲まないか? ついでに昔話でも聞いておくれ。」

子どもは黙って頷きました。