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フレンドボーイ42
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偽善者賛歌15「述語」

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 それでは前回ナレーターの分際で少々語りすぎてしまったこともあるから、今回はふつうに話に徹することにする(しかしほかのナレーターはずっと自己意見も差し挟まずに他人の話をしていてつまらなくはないのだろうか?)。

 哀憐はかつてより義理の親以外はすべて嫌いであった。義理の親の友人すら嫌いであった。しかしながら、彼女には嫌いとも好きともいえない男がいくらかいた。その一例を挙げよう。
 それは義理の父・古巣大也のアパートの住人である紅茶豆乳中毒を自称するゴーストライターの男である(実のところ、そういう不思議系の男は父親の周りにしかいないように思えるようである。もちろん彼女にもそれはぐうぜんそう見えるだけで実質ほかのエリアにもいることなどわかっている)。
 彼は真意すらつかめない。偽善なのか善なのか、悪なのか偽悪なのか、それすら区分できない。自分のためにする行動は食事をして部屋の掃除、洗濯、執筆、紅茶豆乳の嗜飲、トイレ、そして家賃の納付。それ以外の基本的な行動をしている様子が見受けられない。時々旅に出て2ヶ月くらいすると帰ってくるが、行く場所はふつうあまり観光地と考えないベッドタウンである。この前は千葉県は我孫子市になぜか行っていた。見所と呼べそうなめぼしいものは小さくて、これと行った特徴的な外見すらしていない、住宅街にひっそりとあるしょぼい白樺文学館くらいなものである(少しまたナレーターの感想が入ってしまった。今後もこのようなことは多々あるだろうが黙認していただきたい)。
 彼がしていることは自身に対してにしろ他人に対してにしろ、異質であり、彼は微笑とポーカーフェイス以外の表情が作れないようである。

 彼女の彼に対して異質に感じる部分はまさしく、彼を形容するときに出てくる述語が、補語を相当数要してしまうことだろう。そう考えて、しかしそれは彼女が世間をしらなすぎることを端的に表した一例ではないかと思ってしまう。