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フレンドボーイ42
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novelistID. 608
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湯島光希・闇籠

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 四季折々を感じることができるこの部屋は引きこもりには不適であるようで(時間を感じさせることで発する焦燥感を期待していたのだが)実はそうでもないらしい。アパートFのエフは終焉(フィナーレ finale)の意味らしく、あまりうれしくはないなあと思うのだが(人生、いや人間としての終末を迎えてしまったという印象が強くするから(なんでアパートの名前にそれをとってしまったのだろうか、と私は銘々主のセンスを強く疑いながらいっているけれど)住居の名前と言うよりはむしろ収容所のようであるなあ、ということが言いたいのだ)それをいったところでしゃあないやろ、と大きくつっこまれそうで(そもそもいやならイヤで移転すればいい話であってそれをしない自分が怠惰であると言わざるを得ず、そもそもなぜここに引っ越してきたんだという謎がどうしても残ってしまうので、言わないのが正解であろう)、しかしまあもし四季を感じないのであれば引きこもりさんならここは住み心地良いだろうなあと思うのだが、意外にもなにも考えていなかった。
 一日一日の変化はそんなに大差ないじゃないか。いやだって365日もあるんだから1年は。それを忘れていたのは余りに愚鈍なこの自分の無知をさらけ出す格好となっていることだ。
 その終焉に生きる一人の引きこもりがなにを隠そう俺であったわけだがこの度ついに就職を決めてしまい、それがまあ案の定それほどよろしくない仕事で、しかしよろしくないぶん給料はまあはずんでいると、そんなわけでいままで迷惑をかけた親にも親孝行できるじゃないかといろいろするのだが、親はいつも言うのである。
 「それはあんたの稼いだ金だ。あんたが好きに使いなさい」
 それがうれしいと感じ、しかし闇に染まる俺を親は気づいていないはずがない。
 「いつでも辛くなったら言いなさいよ」
 もし俺に挫折経験がなければ素直に甘えたであろうな。
 光希と俺に名付けた親に申し訳がない。