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べんち2

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「おお、さすが、科学の最先端の仕事している人間や。シビアなことぬかしてくれはるわ。」
「そっくりそのまま返してやるっっ。」
「はははは・・・俺、ファンタジーな人間やねん。俺、実は魔法使いやねんで。知ってた? 」
「なら、さっさと目的地に着けてくれ。」
「ははは・・なに言うてんねんなあ。道のりが険しいのが、ファンタジーやん。魔法使いは最後に、杖振って活躍よ? 最後の最後で大逆転っっ。これやんかっっ、ファンタジーの醍醐味っっ。」
「知るかっっ。」
 他愛も無い話をして、また、眠った。それから、二ヶ月しないうちに、目的地に辿り着いた。魔法使いの意味を、俺は考えなかった。それが判明したのは、ずっと後のことだ。




「えーっと、食糧は・・・ああ、ちゃんと食っとるな。トレーニングも怠ってない。」
 1人で起き出すと、まず、チェックするのは、食糧のことだ。どの程度、減っているかを確認しておかないと、不足した場合が非常にまずい。せっかく戻れても、餓死していたでは、洒落にならないからだ。
「・・・ほな、俺は、これぐらいは食うてもええか・・・ていうか、おまえ、遠慮せぇーへんやっちゃなあ。ほんま、図太いわ、こいつ。」
 本来は、きちんと食事制限も設けるものなのだが、慣性飛行をしている現在、食べるぐらいしか楽しみがないだろうから、そういう制限は、設けなかった。その代わり、こちらで調整をする。いろいろと、そういうことがあったので、起きる時間をバラバラに設定した。
「まあ、感謝せなあかんのやろうな。」
 たぶん、1人だったら、もう帰れなくてもいいかもしれない、なんて考えていたかもしれない。その足枷になるように、配属されてきた男だった。パネルに見えるのは、流れていく星空で、周りに惑星も衛星もないから、たたの米粒ほどの光が通り過ぎていくだけだ。
「帰らなあかんのやろうな? タマ。俺、別に、このまんま、蓮の上直行でもよかったんやけどなあ。・・・・おまえ、また、閻魔帳に書き込みでもしといてくれや。俺が弱気になった回数、猫パンチしてもええよってな。」
 何回貯まってるかなあーと、独り言を吐きつつ、計測器を操作する。1人ではないという幻想を抱くために、すでに居ない猫と会話していた。

作品名:べんち2 作家名:篠義