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サイコシリアル [2]

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僕の一世一代のストーキング行為、もとい、尾行は深く語る必要もない。
大して経験値もない、というか、まるで経験値も技術もない初心者である僕の尾行は語る程でもないのだ。
ただ運が良かっただけで、ただ運が悪かっただけで、運命の巡り合わせがそうさせただけで。
ひらたく言うと、尾行を開始して間もなくして事件は急展開を迎えたのだ。
尾行という尾行もしていないのに事件が急展開だ。 学校帰り、夕闇に包まれる頃、人気のない公園で事件は展開していた。
一人の美女が笑い、一人の美女が倒れていた。
尾行をしていたのに、倒れていたという表現はおかしいと思う。
だから、尾行について語る必要もないのだ。
要するに、霞ヶ窪を見失い、見つけた時にはこういう現状だった。
一つ断っておきたいのだが、僕も混乱しているのだ。
この状況に。この現状に。
予想していないこの事態に。
確かに霞ヶ窪が襲われる、という仮定に根拠のない確信はあった。
しかし、いかに確信をしていようがしていないが、所詮は仮定に過ぎない。仮に定めた事柄。仮に定めておく事柄。結局は、正解の分からない問いに勘を頼りに答えるのと同じこと。
でも、僕の今現在の状況は、その勘を頼りに手繰り寄せた問いの正解よりも遥かに当たる確率の少ない正解。
キーワードは出ているが、辿り着けない迷路。
かすっているようで、全くかすりもしてない正解。
結局は逆転の発想ということだったのだ。
僕たちは、犯人は美人を食らうという特性に囚われすぎていたのかもしれない。
戯贈も含め、囚われすぎていた。
何故、超ド級の霞ヶ窪桜が狙われないのか。
何故、生き残っているのか。
逆転させればいいだけの話だった。
そうすれば、初めから正解を見いだすことが出来たのかもしれない。
霞ヶ窪が次に狙われるんじゃない。
霞ヶ窪は一生狙われない。
僕は出だしの部分から間違っていた。根底から間違っていた。
何故、霞ヶ窪が狙われないか。
そう、簡単なことじゃないか。
霞ヶ窪桜、その本人こそが犯人だからだ。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし