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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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小説が書けない

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もう二週間ばかり小説のアイデアが湧かない。
 毎日小説ブログを更新している人もいるというのに情けない限りだ。
 
 趣味でやってる「ワンコと小説ブログ」。
 プロではないし、別に待っている人がいるわけではない。
 だが、一週間に一度くらいの更新も出来ないと、なんとなく自分に負けた気がして嫌なのだ。
 
 それに俺にはライバルもいた。
 
 短編小説部門・ブログランキング第114位、聖河(ひじりかわ)マコ。
 ブログ名は「マコのときめき小説」という。
 
 いかにも女子高生ぽいネーミングで、テンプレートもそれっぽいが・・・、
 俺とは大学・文学部の同期であり、オバサンである。
 以前オフの会に来た時に鉢合わせ、サバを読むのをあきらめて、カラオケで※ラセーヌの星を唄いまくっていた。
 (※・・・75年、フジ系列で放映され、その後89年にフランス革命200年にあわせテレビ東京系で再放送されたアニメ)
 
 その彼女のもう一つの趣味は海水魚の飼育。
 なかでも水タコのタッキー君は人気者で、彼女のブログの売りになっている。
 
 タコでお客さんを集めるなんて卑怯な気もするし、「小説だけを書いている人にすまないと思わないか」と言いたいところだが、その点は我がブログも、まゆげのあるコッカースパニエル、ケン太君を売りにしているので非難はできない。
 
 それでもおたがいに作品を競い合っていて、俺が冒険小説・「魔境のクロ犬」をUPすれば、彼女も冒険小説・「ボボンガ島のクラーケン」をUPする。
 
 彼女がホラー小説・「幽霊壺」をUPすれば俺もホラー小説・「アンナと地獄の門」をUPするという具合だった。
 
 ところが、先程も述べたように、ここしばらくネタ切れ状態なのだ。
 これで、「今週はお休みします」などと書いたら聖河マコの喜ぶ姿が目に浮かぶ。
 
 それだけは何としても避けたいが、さりとて今よりもっと稚拙だった昔の小説を載せるのも嫌だ。
 
 いっそ、タイトルを「ワンコと園芸ブログ」とでもしようか。
 
 いや、それよりマコのやつは新作をUPしてるだろうか。
 
 恐る恐る、マコのブログを覗いてみると、彼女もスランプに陥っていたようで・・・。
 
 ブログタイトルから小説の文字が消え、「マコのたこブログ」となっていた。
 
 
      (おしまい)


   〈 このお話はフィクションです。〉