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はっぴぃにゅういやぁ

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おみくじを引く



 こんにちは、エミィです。
 私はいま、必死に堪えています。

 何をって、何をでしょう?
 気持ちがうずうずして、仕方がないのです!

 皆さん、年賀状のことは一切口にしないのです。外では何も言わないものなのでしょうか? 私の年賀状、無事に届いているかしら? 確かめたいけれど、でも、もしまだ届いていなかったら、サプライズになりませんものね。我慢我慢。

 エー介殿と一緒におられた殿方は、なんと、エー介殿の雇い主なのだそうです。名乗って下さったのですけれど、こちらの名前の響きって難しくって。ジョージ殿、とお呼びさせていただくことにしましたわ。
 彼はいっくんやアキさんとも顔見知りのようでしたし、なんと私のこともご存じでした。テレビというもので、私を見たのだそうです。そういえば何度か、取材をお受けしたことを思い出しました。初めてにも関わらず気さくに話しかけて下さって、とっても楽しい方ですわ。

「とりあえず、みくじ引こうぜ」
 エー介殿がそう言って、小屋の中にいる女の人にお金を払い、筒のようなものを振りました。
 次にいっくん。同じようにして振って、中から出て来た棒を確認しています。
「エミィちゃん、やり方わかる?」
 私の番だったので前に出ると、隣にジョージ殿が来て、親切に教えて下さいました。
 隣では未逆さまが、アキさんに促されて筒を振っています。未逆さまも、こういうの、やるのですね。新年、ですものね!

 小屋の女の人に紙をもらって、みんなですこし離れた場所に移動しました。さすがに6人ですからね、大所帯です。
 人混みから外れたところで、ジョージ殿が得意気にみんなの顔を見渡しました。
「みんな、いいか? 一斉に開けるぜ」

「何が始まるのですか?」
 私が小声で訊ねると、
「この紙を、開ければいいのよ」
 と、アキさんが教えて下さいました。 

 そして――

「やった、吉!」とアキさん。
「おれも吉」ジョージ殿が続き、
「末吉かよ~」いっくんが嘆き、
「中吉だった」エー介殿は少し得意気です。

 なるほど、この紙の、この大きな文字が嬉しかったり悲しかったりするわけですね。
 けれども、うーん。読めませんわ。漢字はまだ、苦手です。

「未逆姉さんは? ちょっと見せてよ」
 いっくんが、小刻みに震えている未逆さまの手元の紙を覗きこみました。
「大吉だ!」

「キャーッ! な、な、な、何で言うんですか! バカですか? あ、いえ、ごめんなさい、そういうつもりで言ったんじゃないんです。でも、私なんかがこんなもの引いてしまって、もう、本当に、どうしたらいいんでしょう。ああっ、例え神社のみくじと言えども、私の今日の幸せな気持ちを見抜かれたようで、私、私……!」

「良かったじゃない、未逆さん」
「そうそう、なかなか引けるもんじゃないんだし」
「エー介、面白い知り合いばっかりだな」
「うっせえ」

 皆さん、とっても楽しそうですわ。

 私のは、何なのかしら?

「あの、みなさん、私のも読んでください!」

 ずずいと皆さんの前に差し出すと、皆さんすぐに覗きこんで下さいました。
 けれども……あらら? 反応が、ありません。

 皆さん、固まってしまいました!

「うんと……エミィちゃん、奉納所に結わえに行こうか」
 ジョージ殿が、私の肩を抱いて歩き出します。
「え?」
「うん、そうね、そうしましょう」
「え? え?」
「未逆姉さんも行こう」
「う、う、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー」
「なあエミィ、カンカンは?」

 奉納所というところに紙を結んで、これで神社はおしまいなのだそうです。
 結局みなさん、おみくじのこと、最後まで教えて下さらなかったのですよ。
 一体、何と書いてあったのかしら? まったく、意地悪でしょう?

 でも、とっても楽しい初詣でしたわ!


作品名:はっぴぃにゅういやぁ 作家名:damo