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ご冥福

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「ご冥福をお祈りします」

 沢山の人が私に向って、その言葉をかけては去っていく。
 
「ご冥福をお祈りします」

 他人の言葉――――
 
 儀式的に吐くだけの言葉。そんな物にどれだけの意味があるっていうんだろう?

 サラサラと音が流れていく。耳に入っては零れていく。
 隣では妹が泣いていた。
 
 私は涙ひとつ零せずに、じっと見ていた。参列者達を。

 この中に純粋に死者を惜しんで嘆く人が一体どれほどいるというのだろうか。
 葬儀の規模、集まった人の数、棺のランク――――そんな物すら値踏みしていく人達。

 葬式って死者との別れを惜しむ場じゃないんだろうか。
 この‘常識的な’葬式という行為を受けとめられないのは、私が子供だからなのだろうか。

 妹は嗚咽している。
 それほどに嘆く人達だけで集まる事が出来たなら――その葬儀はどれほど意味のあるものになるだろう。

「ご冥福をお祈りします」

 感情の無い声で目の前の男が私に言う。
 だけど私はその言葉に、ふいに安堵を覚えた。


 ……ああ、そうか。祈りは――――


 祈りは、今、生きている私達の為にある。
作品名:ご冥福 作家名:有馬音文