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真実の鍵 ―解決編―

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冬空の下で……


 暢気に帰り道を歩いていた私の後ろにいる音羽警部が不意に立ち止まった。
「警察に戻ってこないのか?」
 その言葉を聞くと私も立ち止まった。けれど私は振り返らない。振り返ったらダメな気がする。
「五年も現場に離れていても事件を楽々解決したんだ。別に戻って来ても問題はないだろう?」
 風が強く吹いた。
 あぁ、そろそろ寒くなってくるかもしれない。そう思いながらも私は空を見上げた。雲は少なく蒼い空が見える。
「……戻らないよ。私は」
 私は空を見るのを止めて、視線を戻す。
「血の臭いがね……。ずっとつきまとっているような気がしてね。もう、嫌なんだ」
 私はゆっくりと歩き始めた。
 私と音羽警部の距離は広がっていった。
「音羽警部」
「……なんだ?」
ゆっくりと近づいてきた音羽の部下の刑事を見ようともせず、ただ音羽は歩いている夏葉 優歌の背を見ていた。
「彼女は何者なんですか?」
「優歌のことか……」
お前が刑事になったのは三年前だったな、と呟いている音羽はスーツの裏ポケットからライターとたばこのケースを取り出した。
「おまえ、警視庁の伝説って知っているか?」
「……探偵の話なら」
「その話だ。その話の探偵が優歌の先祖」
音羽はたばこを口にくわえるとたばこの先に火をつけた。
「呪われた一族、夏葉家の当主が彼女なんですか?」
「そんなところだ」
音羽は溜め息とたばこの煙を同時に吐き出した。
「五年前に止めたはずなのにな」

 冬が近づく道を私は次にいつ会うかを予想しながらも歩いた。