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真実の鍵 ―解決編―

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解決編開始


 南城さんと美代さんは椅子に座り、黒畑さんは開いている窓から外を見ていた。メイドさんと四人の刑事さんは出入り口の近くに立っていた。
 音羽警部が帰ってくるのはまだ時間がかかりそうだなと内心溜め息を吐きながらもゆっくりと口を開いた。
「さっそく本題に入っていきます。まず、この密室をどうやって作ったか、です」
部屋にいる全員の視線がばらばらだったが私の言葉で一瞬にして私に集まってきた。
「この部屋の鍵の一本目はこの机の上にありました。そしてもう一本の鍵はメイドさんの部屋で管理されていました」
出入り口の近くにいたメイドさんは小さく頷いた。
「しかし鍵を管理していた部屋には欠点がありました。それは鍵を管理している部屋ともう一部屋が繋がっていることです」
「……どこが欠点なんですか?」
疑問符を浮かべている美代さんを見ながらも私は答える。
「電話が置いてある場所がもう一部屋のほうなんです。つまり電話に出れば鍵を管理する部屋からは目を離すわけです」
「メイドさん」
南城さんの言葉で美代さんと黒畑さん、そして刑事達はメイドさんを見た。
「あの日、電話は何回あったんですか?」
「……旦那様の会社から三度、南城さんの友人から一度、それと悪戯電話が、二度」
 ひとまず密室の謎が解決したことに安堵しているところに美代さんがこちらを見た。
「その電話の間に殺人があったんですね?」
私は頷く。
「ここから話は難しくなります。何故、密室にしたのか、です」
「そんなの理由なんてないんじゃあないですか?」
今まで黙っていた黒畑さんの質問に私は首を横に振った。
「理由はあります。まず、これに答えを出すための鍵は南城さんが言っていた袋です。南城さん、袋は確かに机の上にあったのよね?」
私から南城さんのほうに視線が代わる。南城さんは怖がりながらも小さく頷いた。
 そんなとき扉が開き、一人の男性が入って来た。
「ちゃんと調べてきた? 音羽警部」
扉を閉めて私のほうに歩いて来た男性――音羽警部の表情を見ると私は安堵した。
「もちろんだ」
私の横で止まると音羽警部は私と同じようにみんなを見た。そして折られた紙をポケットから取り出した。
「被害者、比果 道音の血中から毒の成分が発見されました」
そう言いながらも音羽警部は机の上に広げられた紙を置いた。
 これで密室の作られた理由の謎の証拠はそろった。
「この結果から袋の中に入っていたのは毒だとわかります。つまりこの密室が作られた理由は自殺に見せ掛けたかったんです。しかしなぜカッターが刺さっていたかが問題になっていきます」
横にいる音羽警部を見るとそれに気づいた音羽警部が再び折られた紙を広げ机の上に置いた。
 そこには指紋について書かれていた。
「ここから少し実演をしてみます」
制服の胸ポケットから刃の出ていないカッターナイフを取り出すと机の近くにいた音羽警部は私の横に立った。私と音羽警部は向き合った。