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【オリジナル小説】バタフライ

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 「現実は小説より奇なり」という言葉がある。そんな言葉を実際に体験するとは夢にも思っていなかった。
 その不思議な出来事は、いつもと同じく授業が終わって、放課後をすごしているときだった。


「ユリ〜。今日部活遅くなるから先帰ってて。」
いつも一緒に帰っている友達にそう言われたので、一人で帰ることにした。その日は、とても暑かった。のどが渇いたので公園の自動販売機へとむかった。
「暑い。どうしてまだ春なのに夏みたいに暑いんだぁ。え〜と、コーラにするか。」
小銭を入れ、ガタンッとコーラが出てきた。日陰にある公園のベンチに座り、コーラを飲んでいたら、蝶がヒラリと飛んでいるのが目に入った。蝶の進行方向には、蜘蛛の巣があった。
「おぉい、ちょうちょ〜。そっち行ったら蜘蛛の巣にひっかかるぞ・・・って言ってる隙にひっかかてるじゃん。・・・しょうがない。」
 ベンチから立ち上がり、糸にひっかかった蝶の羽をゆっくりもち、蜘蛛の巣から助けた。蝶は私の顔を見るかのように飛びまわり、その後どっかへ飛んでいった。
 飲みかけのコーラを一気飲みして、ゴミ箱に捨てる。さて、帰るかと歩き出そうとしたとき上から何か音が聞こえた。叫び声にも聞こえる。
「ぅゎぁぁぁ!!」
「ん?なんか聞こえたような・・・」
「ぎゃぁぁ!!どいてください!!!」
「え?!」
上を見上げたとたん何か重たいものが落ちてきて、下敷きにされた。上に乗っかかっているものを見ると、それは女の子だった。私と同い歳ぐらいだろうか。
 「いててて・・・、もぉ!なんでいきなり女の子が上からふってくるのよ!!」
「あぁ、どうもすみません。」
「それより、早くどいてぇ。重い・・・。」
 その女の子はすぐに私の上からどき、私も立ち上がった。再度、その子をまじまじと見てみる。着物で金髪の髪を後ろで一つにしばり、背丈は150と小柄である。いったい何処の誰なんだとかなんで上から落ちてきたんだとか疑問を浮かばせていると、その子がいきなり頭を下げてしゃべりだす。
 「さきほどは、ありがとうございました。あの、あなたのお名前もお伺いしても?」
「え、名前?日野ユリだよ。・・・ってさきほど?あんたが上から落ちてきて、私が下敷きになったけど、一応助けたってことかな?」
 「あぁ、その件についてはすみませんでした!!・・・って、私の言ったさきほどというのは、蜘蛛の巣にひっかかったのを助けてもたったときです!!」
 蜘蛛の巣と聞いて、私の頭の中にさっき助けた蝶が思い出される。蝶?蜘蛛の巣から助ける?馬鹿げていると思うがもしやと思い、おそるおそるその子に聞いてみた。
 「もしかしてあんた、う〜ん何て言うかその、もしかしてさっき助けた蝶さんで?」
「違います。さきほどあなたが助けていただいた蝶は私の妹です。私は妹の命の恩人のあなたにお礼をしにきました。ちなみに人間の姿なのは、私が蝶の妖精だからです。」
たんたんと説明される間、この人頭大丈夫か?聞いた私が馬鹿だった、私はそんなこと思いつつ、空を見上げ現実逃避をする。そんな私に気づいたのだろうか。
 「何現実逃避しちゃってるんですかぁ〜!!本当ことなんで信じてくださぁい!!」
 と、今にも泣きそうな顔で説得してくる。そんなこと言って信じろと言われても無理がある。私は、げんなりとして言った。
 「じゃあ、本当にその、何だっけ、蝶の妖精だって証明してもらえませんですかね?」
 「証明ですか〜。それでしたら、お礼をしたいので願い事を言ってください。私の魔法で叶えてさしあげます!」
 自信満々にその妖精が期待の目で見てくる。願い事かぁ、まぁそれで気がすむんだったらと思い言ってみる。
 「先週発売した任●堂のD●iが欲しいかな。」
 「わかりました!・・・すみません任●堂のD●iとはどんなものですか?」
しばらく思考が止まった。どうやら蝶の妖精さんは人間の市場には疎いようだ。
 「それじゃあ、アイスキャンデーでいいよ。」
 「わかりました!それではいきますよぉ!ちょっちょひらひらぁぁぁ・・・・」
アイスキャンデーなら公園にもときどき売りにくるし、妖精も知ってるだろうと思った。
それにしても、変な呪文だなぁ。妖精の呪文がいきなり止まった。
 「すみません!!あいすきゃんでーではどういったものでしょう。」
 あぁ、カラスの鳴き声がきこえる。
「はぁ〜・・・。もういいよ。」
「えっ、どうしてですか?願い事叶えてほしいんじゃないんですか?」
「気持ちだけ受け取っとくよ。じゃあね。」
 私は公園から立ち去った。


寄り道でもして帰るかと考えて歩いていると、後ろから妖精が走ってついてくる。
 「あんた、まだついてくるつもり?」
 「願い事をかなえるまで帰りたくありません!!」
「じゃあ、あんたがはやく帰ってくれることを願うよ。んじゃ。」
 はぁ、疲れた。付き合いきれないと思い歩き出すと、妖精は怒ったのか大声で叫んだ。
「もう!願い事かなえるまで帰らないって言ってるのに!ユリさんのアホぉぉぉ!ちょっちょひらひらぁぁぁそれぇ!!」
 またあの変な呪文を唱えだしたかとおもったら、急に体の自由がきかなくなった。歩く先には、階段がある。こんな体の自由のきかない不安定な状態で階段なんて歩いたらどうなるだろう。
「うわぁぁぁぁ!!!」
 案の定、バランスをくずし階段から落ちている。下を見ると人が一人歩いていた。このままではぶつかってしまう。
「どいて、どいて〜!!」
 まぁ、なんだ。一応精一杯叫んでみたが、いきなり階段上から人が落ちてくるとは、誰も思わないだろう。下にいた人もよけきれずに、ぶつかってしまった。
「あたたたた・・・」
「いててて・・・、すみません、大丈夫ですか?」
 痛みを我慢しつつも、相手の様子を見た。あぁ、下にいた人って女の子だったんだと感傷にふけろうしたとき、違和感がした。相手の顔、すごくどっかでみたことがある。あっ!
「なんで、私が目の前にいるの?!」
「どうして、俺が目の前にいるんだ?!」
これは、もしかしてアレか?よく少女マンガにでてきそうな・・・
「「もしかして、私(俺)たち、入れ替わった???!!!」」
 神様、私なにか悪いことでもやりましたか〜?


「最悪だ・・・。」
「まったくよ・・・。」
階段の上から誰かが何か叫びながら降りてくる。
「ユリさ〜ん!大丈夫ですか〜?」
 私は無言で立ち上がり、妖精に近寄り、頬をひっぱってやった。
「ちょっとあんた!!何てことしてくれたのよ!!」
「ひ、ひぃたいれす。ほゆうふぁ、はなふぁ、はえ?」
 何を言っているのかわからなかったが、多分姿がちがう私が誰なのかと聞いているのだろう。妖精のほっぺから手をはなす。
 「私は日野ユリ!この姿は、さっきあんたに階段から落とされて、下にいた人と入れ替わっちゃったからなの!!」
 「・・・へ?」


妖精がフリーズから回復しているのを待っている。まったく、フリーズしたいのはこっちのほうだと叫びたい・・・。妖精がまたしゃべりだした。どうやら今起きている出来事の情報処理を終えたようだ。
「コホン!話をまとめるとユリさんとえーと・・・」
「ああ、俺は白井キクオな。」