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さかきち@万恒河沙
さかきち@万恒河沙
novelistID. 1404
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Light And Darkness

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ACT,4





「……それは、災難でしたねぇ」
 大伴義貴という大学生は、誰にでもこの穏やかな丁寧口調で喋るらしい。やはり育ちと躾が違うぜ、と思う悠弥である。
「ああ、これですね」
 義貴が病室備えつけの小型テレビの画面を示した。この病室の入院客は依然として二人のまま、月曜日の今日も――日曜日はうとうと眠って過ごした  比較的問題のない目覚めを迎え、食事をすませた後。朝のちょっとしたワイドショーが小特集を組んでいるニュースである。
 郊外の公立中学校で、爆発事件があったという。警察は、悪質な悪戯と見て捜査中とか。
「爆発物ですか。……近頃は危ない事を考えつく人もいるものですねぇ」
「……ははは」
 ――いやー、全部自分の蒔いた種だったりして。なんせ化け物退治がしごとなもんだから……とはいえない悠弥である。
「まったく、迷惑な話ですねぇ」
 のほほんという義貴である。悠弥は、外見中学生とはいえ長々生きてきた人生上、あまり特定の人間に興味をそそがないことにしているが、彼はどうなのだろう。実際のところ、悠弥より二日ほど前に同じような重傷で、担ぎ込まれたと聞いたけれども。
 それがまなざしに顕れたのか――汲み取っているあたりが侮れないが、義貴は悠弥を見返っていう。
「私も……似たようなものかも知れませんね。じつは街中で、硝子に降られまして」
「……硝子……?」
 硝子に、降られる? 
 聞き返した悠弥に、ええと相槌をして、
「私は普通に道を歩いていただけなのですが。突然頭上から。どこかのビルの窓か何かが割れたんでしょうね。運が、悪かったんです」「そりゃ……危ないですね……」
 なんだか他人ごとのように淡々と語る彼の雰囲気に半ば飲まれて、悠弥は唸った。
「一緒になって落ちてきた窓枠の下敷きになって、それで御覧のとおり。硝子とはいえ侮れないものです」
 なにやら感心したような声。かれの内部構造は、よっぽどのんびりできているか鈍いのか、それとも喉元過ぎれば何とやら、のどれかだと悠弥は考察した。
「まぁ、人通りの多い場所だったのでかなり目立ってしまいましたが」
「どこなんですか?」
「渋谷駅の近く。ビルが密集しているでしょう。……大学があるんですよ」
「へえ。じゃ、多少はニュースになったでしょうね」
 少しの沈黙が、あった。
 義貴がふいに窓の外をへと視線をやり――。