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あんどうくん

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これは、夢で見た話であり、「あんどう君」は実在するものではない。
多分学校の帰りであろうと思う。学生服を着ている私達は、5人くらいで、わいわい遊びながら帰っている。
その中の一人が話をしていて、ある一人に同意を求めるように「ハッハッハッ、なぁ……。」
その目の前の友達の名前が、どうしても思い出せない。ど忘れしたのだ。
頭を抱えて、思い出そうとしていると、いつの間にか、その子(名前を忘れられた子)がいなくなっている。
四方を見渡しても見当たらない。忽然と姿を消しているのだ。
心配になって皆で捜し始めるのだが、妙な事に、捜している全員が、その子の名前を、ど忘れして、思い出せない。
その一帯は、工場の跡地のようなところであり、「おーい。」などと声をかけながら、いろんなところを、それこそ土管の中まで捜しても見つからない。
もうこれは、捜し出すのは無理だと諦めて、帰ろうかとしたときに、一人がふと思い出す「思い出した、あんどうだ!」
その瞬間、そこに、消えたはずの「あんどう君」は、いたのだ。
ここで恐ろしくて目が覚めたのである。
夢というものは、大概が、脈絡のないものであるが、この夢は、都市伝説のようであり、また「あんどう君」は、妖怪のように教訓的であると思う。
世の中には、あると信じればあり、ないと思えばないという事柄が、多数ある。
例えば、「思いやり」というものすら、徹底した、現実主義者に言わせれば、優しさの表れなどではなく、「かけひき」に過ぎないということになってしまう。
程度の差はあれど、私達は、いろいろな事を知り成長していく際に、大事な事を見失いがちである。「あんどう君」の名前を忘れないものは、幸運である。
しかし、多くの人は、そうではないだろう。
「あんどう君」が消えたとき、その名を思い出し、さがしだすのは、なかなか容易な事ではないのだ。
作品名:あんどうくん 作家名:k.k