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文殊(もんじゅ)
文殊(もんじゅ)
novelistID. 635
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とある学校の委員会は!

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二時間目 その委員長、かなりの暴君につき。



―学校生徒全員で立ち向かっても、勝てる気がしない。―

「いだっち! あれと、あっちの!」
「はいはい。後、その呼び方やめてください」
体育委員副委員長の不動が顔を向けるが、既に横に委員長の姿はない。
さっそく、交渉と称しての連行が始まったのである。
声をかけられた一年生は驚きながら、ただ頷いている。
そのまま言葉を交わしたかと思うとその一年生を担いで、次のターゲットへと向かう。
「あー……」
せめて一人ずつこちらに置いてから「狩り」に向かってほしい、とは言えない。

不動が体育委員会に入ったきっかけも、ほとんど「狩られた」と言っても過言ではない。
入学してすぐの体育で、短距離のタイム測定があった。
学年で一番速かったらしく、体育教師が一言。
「これならうちの帝王と、良い勝負かもな!」
「良い勝負、ですか……」
それが、少し癪だったと言ってしまえばそこまでなのだが。
ちょっとした不満を、感じたのである。
たとえ年上だろうと負ける気がしない、と次の瞬間口にすると。
体育教師は苦笑いをしながら、対決をセッティングしてやるよ、と言ったのだ。
次の日の昼休みにグランドで待ち構えていた人物こそが、問題だった。
当時は副委員長の、矢動丸伝馬がそこにいたのだ。
「おー、お前か!」
矢動丸は初対面だと言うのも全く関係なく、嬉しそうに接してきたかと思うと。
「お前俺に負けたら、体育委員な!」
そう言ってのけた。
負ける気がしないと思っていた不動にとって、非常に嫌な挨拶である。


「負ける気しないんで、いいですよ」


そう、言ってしまったのだ。
自分の言葉を数分後に異様なほど後悔するとは、知らずに。

スタートから何からこれまでないくらい良かったことを、覚えている。
しかし、それ以上に嫌なことも覚えている。
あの抜き去られる感覚が、なんとも言えなかった。
まるで、獣である。
誰だ、帝王とか人間らしいあだ名つけた奴。
そう思ったが、そう言えばライオンだって「百獣の王」なのだ。
『あぁ、多分そう言う意味なんだ』
抜き去られたのにも関わらず足は良い動きを止めず、走り抜けた。
不動にとって、久しぶりだった。
同年代で走って負けるなんてことは、小学校の時以来だ。
『ちくしょう……』
悔しいけれど、なんだか勝てる気が今はしなかった。
それくらい、速い。