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アリス・スターズ
アリス・スターズ
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妊婦アリス・スターズの話

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2011年3月18日


 前回の通院で予約を取る時、すでに土曜日が予約でいっぱいになっていたため、今回は金曜日に行くことになり、病院に向かう車はタント君で、運転手はアリス。クロエは仕事でいない。
 受付で、仕事を辞めたため保険証がまだないことを伝えると、次の検診に保険証を持ってきたらいいらしい。今日の検診で保険診療があった場合は、ひとまず全額を支払い、保険証提示で保険適用分が返金されるとのことだ。クロエの職場での手続きはもうしているはずなので、次の検診には間に合うだろう。
 検尿を済ませ、体重測定に呼ばれる。前回から2週間、今日の体重は57.4kgだ。
(2週間で700gかー。ちょっとオーバーって感じかな?)
 血圧は上が89、下が60といつも通りだ。血圧を測った後、看護師から瓶を渡される。
「これを飲んでから1時間後に採血しますからね。」
 これが例のブドウ糖炭酸飲料なのだろう。量は150ml、なんだか点滴の袋にありがちなラベルで、医療用なんだろうなと思わせられる。飲んでみると、これが意外と強炭酸で飲むのに時間がかかる。なぜ炭酸なんだろうと疑問を感じつつ、全部飲み干してから待合室に戻り、診察を待った。

 しばらくして診察室に呼ばれ、やはり子宮底長と腹囲の測定の後のエコーから始まる。
 まず頭を左画面、足を右画面に一時停止する。頭は6.94cm、足は4.72cmだ。次は左画面に腹部を、右画面にシンシアの顔を正面から映す。胴の面積は35.42c?で、予測体重は1013g。小さめではあるが、順調に成長しているようだ。引き続き3Dエコーに画面を切り替えると、顔の前で腕をクロスさせているシンシアが映し出される。どうやら顔を見せる気はないらしい。
 エコーが終了すると、アイリーン先生がこう言った。
「逆子になってますね。後で助産師さんに逆子体操を教わってくださいね。」
 逆子。つまり、今シンシアの頭は上側にあるということだろう。胎動の位置が変わった感じもなかったが、それは今まで位置が定まっていなかったからだろう。
 診察室を出て、呼ばれるがままにマミールームに入る。助産師さんから、お腹の張りを押さえるための膝倒し体操と逆子体操を教わる。ここで教えられた逆子体操は、よく見るお尻を突き上げる猫のポーズといわれるものではなく、仰向けの状態でクッション等で腰を上げるものだ。これを寝る前に20分行い、右側にシンシアの背中があるため左を下にして寝るように指示される。いつもアリスは左を下にして寝ていたはずなので、それを続ければいいということだろう。
 またしばらくの後、採血。もう一度診察室に呼ばれると、ついでに調べた貧血が出ているということで薬が処方された。これは保険が利くので次の検診で一部が返金される。「フェロミア錠50mg」と「メチコバール錠500μg」を処方され、スプリングウィメンズクリニックで支払ったのは710円。隣の薬局でフェロミア錠を「フェロチーム錠50」に変更して支払ったのは3250円だ。
「よく考えたら、自己注射って相当高かったんだなー。だって一番最初、エコーとか指導料とか注射の本体も込みとはいえ、保険適用で15000円だったもんなー。」
 不妊治療にはお金がかかる、とはよく言われる。アリスは排卵誘発からのタイミング法だけで済んだが、世の中には1回のチャンスで数十万かかる上保険の利かない体外受精しか手段がない人もいる。
 すでに生まれている子供に対する補助を手厚くするより、不妊治療の補助に力を入れたほうが少子化に歯止めがかかるのではないか、とアリスは時々思うのだ。