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顔 上巻

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 ⑥初日 #3



最初の三日間ぐらい、海ッぺりの倉庫街をうろうろしていた。
隠れる場所多かったからな。
だが、韓国人と南米系の奴らの撃ち合いに出くわして。
やがて警察が来ることがわかったから、場所を移したんだ。
けど、所持金が200 円ちょっとしかなかったから。

高速沿いに行ったところに寿地区があるだろ。
アソコで、まずしたのが、散髪・・路上のやつな。
婆が一人でやってるやつ。「ババアのバーバー」って呼ばれてたな。
そこで、頭髪を全部剃った。

次にびくつきながら、教会の炊き出しに行った。
兎に角、飯が食いたかったから。
そこで、自分の手配写真の載ったポスターを見たのさ。
だが、誰一人、スキンヘッドのオレに気付く奴はいなかった。

なんだかんだいってもアソコはドヤだ。
この不景気な中、ドヤの人口と人口密度は高まる。
不思議なもので人口密度が高まると。
人間、手配写真なんて見なくなるらしい。
次の朝から日雇いの寄せ場に出向いて、その日の糧を得るようにした。

とにかくここですら、隠れていたらいずれ見つかる。
いままで。こんな目と鼻の先で捕まらなかったのが不思議なほどだ。
逃走資金を得るために、慣れない肉体労働をこなしていった。
オレ、ドヤにいるときは髭を剃らなかった。
作品名:顔 上巻 作家名:平岩隆