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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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夜桜お蝶~艶劇乱舞~

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二之章


「あんたが新しい子だね?」
 色香の薫るお紺の瞳で見つめられ、娘は躰を竦ませた、すぐにきつい眼でお紺の瞳を見た。
「お千代と申します」
「どこかで見た顔だねぇ?」
 切れ長の眼をさらに細くしてお紺はお千代の顔を見つめた。親分も同じようにお千代を見つめたが、すぐに首を横に振った。
「知らん。うちは入れ替わりが激しいからな、似たような顔もいたかもしれん」
「そうかねぇ」
 お紺は首を傾げながら、なにか納得のいかない顔をしていた。
「まあいいさ、付いておいで」
 お紺は流し目でお千代を見て、そそくさと履物を履いて外に出て行ってしまった。
 慌ててお千代は道に出たが、すでにお紺の姿はなかった。
「なにしてんだい、こっちだよ」
 声がした方向を振り向くと、壁と壁の間の細い道を歩くお紺の後ろ姿があった。
 細い道を抜けると急に大きな庭に出て、お紺は縁側に手をついて部屋の中を覗いた。
「弥吉、弥吉!」
 家の中に響くお紺の声。
 返事はすぐに返ってきた。
「へい、今すぐ!」
 部屋の奥からお千代と同じ年頃の若い男が顔を出した。
 男はお千代の顔を見て、すぐに眼を伏せた。お千代も男の顔を見たが、なにも言わず鋼のような顔をしている。
 お紺はお千代に向かって顎をしゃくった。
「新しい子だよ、いろいろと教えておやり」
「姐さん……部屋がどこもいっぱいで」
「それなら死んだ菊花の部屋に――」
 死んだ娘の代わりにお千代に部屋を使えと言うかと思いきや、まったく違った。
「小枝を移動させて、空いたふとん部屋にその子を入れておやり」
「へい」
 軽く頭を下げた弥吉を見ることなく、用事が済んだお紺は姿を消してしまった。
 弥吉は目で付いて来いとお千代に合図した。
 連れて行かれたのは、やはりふとん部屋だった。
 弥吉はお紺を先に部屋へ通すと、ぴしゃりと戸を閉めた。
 二人っきりの小さな部屋で、突然弥吉はお千代の両肩を掴んだ。
「おれだよお千代、わかるかおれのこと?」
「ひと目見たときから気付いてたよ」
 はしゃぐ弥吉とは対照的に、お千代は不機嫌そうに視線を伏せていた。
 畳んで積み重なっていたふとんの上にお千代は腰掛けた。
「村を捨ててやくざになってたなんて……あんたはもうわたしの知ってる弥吉じゃない」
 五年ほど前に村を飛び出した弥吉。お千代と弥吉は幼馴染であった。