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道徳タイムズ

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エピローグ「人は変わっていく」


 心のネットワークから脅威は去ったみたいで、あの世界はあの世界を創った住人、魂の精霊たちのものとなった。
 私たちはそれぞれ自宅に帰ったけれど、現実でたっていた時間はなんと数秒で、私は普通に玄関から出ただけの状態で。夕菜はなんとあの後ベッドの下で寝ているのが発見されたと電話が来た。一体いつもどうやって心のネットワークに行っていたのだろう。遊馬はそれから数分後にうちを訪ねてきた。髪を銀色に染めちゃってるし、すっごく背が高くなってるしカッコイイし、親が最初見た時凄く驚いた。
「遊馬ってこの辺に戻ってきてたの?」
「ああ、今日戻ってきた。心のネットワークの事は夕菜のアドレスで啓補から送られてきて……」
「夕菜のアドレス知ってたの?」
「ああ、文通してたからな」
 遊馬は平然と言ってみせてた。
「私とは何の連絡もなかったのに」
「当然だ。愛子自身に愛子の現状が聞きたいとか、愛子の写真がほしいとか言えるはずねえからな……あっ」
 それから、しばらく沈黙が続いて微妙な空気になってしまったのは言うまでもない。

 桜お姉ちゃんからはその後久しぶりの手紙が来た。なんと、硬牙お従兄ちゃんと籍を入れるらしい。夕菜は突然すぎるとかちょっともんく言ってたけどうれしそうだ。一方硬牙お従兄ちゃんは突然うちに帰ってきた。昔から頼りになるたくましいお従兄ちゃんだったんだけど、背は遊馬より伸びて、髪も少し伸びたりして、性格はもともと大雑把だったんだけどさらに大雑把になっちゃってた。なのに夕菜の家に一人で挨拶には行けないとか言って、結局昔の5人組と啓輔さんまで居る前で夕菜の家に挨拶に。桜お姉ちゃんはこんなんになったお従兄ちゃんの何処がいいんだろうとちょっと思った。

それと、私の首に相変わらずぶら下がっている鍵、絆の鍵は昔埋めたタイムカプセルの鍵だった。啓輔さんも行きたいとか言うから秘密にされてた桜お姉ちゃんと硬牙お従兄ちゃんまで付いてくるしまつで、にぎやかな中でそれを開くことになった。箱の中にはさらに3つの箱が入っていて、それぞれが私、夕菜、遊馬のもの。私の箱の中にはちっちゃいころの写真とか鉛筆が、夕菜の箱の中には人形や、もう食べられないのにきれいな形でのこってるお菓子や……夕菜らしいものが入っていたんだけど。
「遊馬の箱は中に何が入ってるの?」
「……ああ、コレは……! ひ、秘密だ秘密!」
 結局最後まで何かわからないままだった。

何年もたつと、人はいいほうにも、悪いほうにも変わっちゃったりする。ときにはすれ違って喧嘩したり、泣いたりする。傷つけあったりしても謝れなかったりもするし、一度溝が開くともう話すことさえ出来なくなったりする。いろんな出会いがあって、いろんな別れがあって、いろんな波乱があって、私たちは違う人間なんだと知っていく。人には個性があって、その個性が嫌で、嫌でも直せなかったりする人や、最初からあきらめてる人もいるし、自分の個性にも気付かないまますごしてる人がほとんどだ。
だけど、何かに躓いたり迷った時には自分を見つめなおしてみて。
貴方は貴方
そこには貴方と貴方の心が選んだ道徳がある。
そして未来が。
私は矛盾した不思議なあの心のネットワークで、少しだけ、ほんの少しだけ素直になれた。と、思う。
作品名:道徳タイムズ 作家名:黒衣流水