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【DRRR】月夜の晩にⅠ【パラレル臨帝】

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1.ウサギ降る半月




この、眠ることを忘れた夜でも明るい街にも、月は昇る。
それは、やけに白く大きな半円が空に浮かんで、薄暗くも周囲を照らし出した夜のこと。

子供の、遊ぶ、声がする。

 ――――うーさぎ、うさぎ  何見て跳ねる―――――

 ――――十五夜おっ月さーま―――――

 ――――見てはーあぁーねーるー――――

 ―――くすくす、きゃはは、あはははは―――





都会、池袋のど真ん中の薄暗いビルの上で、臨也は勢いよく後ろを振り返った。
確かに今、子供の笑い声とわらべ歌を歌う声が聞こえた気がする。
だが、振り返った彼の周囲には誰もいない。街の騒音も今は少し遠かった。
当然だ。すでに廃ビルとなった建造物の屋上、夜中の1時を過ぎようかという時間だった。まだ眼下に広がる街には、多少の声や車の走行音がするものの、それも控えめに落ち着いている。
その闇に紛れたがるように、真っ黒な服を着た男は、浮かび上がる白いファーを揺らしながら首をすくめる。

「やだやだ、疲れてんのかなー」

独り言を呟きながら、片手に持っていた双眼鏡をまた目線の高さまで持ち上げた。
夜中の廃ビルに子供の遊ぶ声だなんて、どこの典型的なジャパニーズホラーだろう。
そう自嘲して向かいに立つマンションへとまた双眼鏡を構えた臨也は、そこへ目を当てる前にその動きをピタリと止めた。
やけに月の明るい夜だった。
もう十五夜なんてとっくに過ぎているが、秋に見上げる月はいつでも大きく見え、直視すれば眩しいほどに光って見えた。

その景色の中に何か白いモノがふわりふわりと浮かんでいる。


 ――――秋の夜長は短し長し――――

 ――――胡蝶の夢とリュノウギク――――


歌いながらフワフワと浮かぶソレが、笑い声を上げながら仲間に手を振る。
それに応え、無邪気な笑みでまた1つ、いや2つ、ゆっくりとしたスピードで何かが降りてくる。

片目だけを双眼鏡に当てた状態で固まっていた臨也は、完全に見張っていた部屋のことなど忘れて、その光景を凝視していた。
小さな子供に見えた。
でもそれは、確かに今、これ以上うえがないはずのところから降りてきていた。
ふわり、ふわん、ゆっくりと。
それは合計で3つの影。全体的に白っぽくて、ちょうど今夜の月明かりと同じ色をしている。
子供特有の頭部の大きなシルエットに、ひょこりと突き立った耳が揺れた。
まるで、ウサギのように。