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能登織 森永
能登織 森永
novelistID. 18299
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TLが静止する日

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パソコンの画面を、男はじっと見つめていた。
サイトの名前は、twitter。
全世界の人のつぶやきを垂れ流すサイトだ。
男はtwitterのマイページを、目の周りをしわくちゃにしながら睨んでいた。
このごろ、他の人からのつぶやきが全く表示されない。

 twitter内では、自分が見たいツイートだけを表示したページをタイムライン、略してTLと呼んでいる。
つぶやきが多い時は「TLの流れが速い」、逆の場合「TLの流れが緩やか」と言ったりする。
ここ3日間、その「TL緩やか発言」すら、TLに入ってこないのだ。
昨日まで男は、「みんな忙しいのだろう」と理由づけ、YouTubeなどの動画サイトを楽しんでいた。
ただそれが3日も続けばおかしいと思うのは、人間として当然だろう。
男ももちろん例外ではない。

「おかしい。何かがおかしい」
そこで男はTwitterの本部に意見を投じた。
「TLが止まったままです。何か異常があったのですか?」
ただ、2日待っても返事が来ない。

 男の頭には、疑問ではなく、不安がみなぎってきた。
自分だけが、地球に取り残されたような錯覚に陥る。
男はそんな思いをtwitterにぶつけることにした。
「【拡散希望】誰かいませんか!いるならツイートして!」
男がツイートボタンをクリックしようとしたその時
部屋が真っ白な光に包まれた。
その光は、男と部屋全体を埋め尽くし、そしてすべてを消失させた。

ただの影となった男には分からないだろう。
6日前、異星人が地球を攻撃し、人類があとかたも無く消滅したことを。
そう、自宅警備員の彼には・・・


作品名:TLが静止する日 作家名:能登織 森永