小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ツカノアラシ@万恒河沙
ツカノアラシ@万恒河沙
novelistID. 1469
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ぐらん・ぎにょーる

INDEX|11ページ/29ページ|

次のページ前のページ
 

お約束の予告状を美しき深窓の令嬢に出した上で正々堂々誘拐し、美しき深窓の令嬢をキラキラ光る尾びれを持つ人魚に改造する実験をし、人魚の深窓の令嬢に厭きたら、月蝕劇場にて美女解体ショーを行い、どこかの山奥に七人の小人のコスプレをして埋葬に行く。これが、彼らの基本的な生活です。ご興味のある方は是非、このノートに予約を入れてくださいませ。先日知り合いの少年探偵からとある娼館の美少女の誘拐の依頼がありましたものの、未だ予約の余裕がございます。ただし、美しき深窓の令嬢がいらっしゃるお宅に限ります。

『月蝕劇場』(劇場)
その夜月蝕劇場で見たバレエのオーロラ姫は格別の出来だった。観客は総立ちでプリマのカーテンコールを待ったが不思議なことに、幕の内側からプリマの美しい姿は二度と現れることはなかった。
その夜の公演に興奮醒めやらず友人と話ながら、いつものように『葬儀屋のば−』に行くと、バーのマスターが珍しい酒が手に入ったと教えてくれた。その名も『眠りの森の美女』。丁度良いと、私と友人が注文すると、出てきたのはオーロラ姫の格好をした人形が詰められている酒瓶。横軸色の液体にゆらゆらとゆれていた。
後で聞いた話だが、プリマが現れないのを不思議に思ったヒトが舞台の裏や楽屋に足を運んでみたが、プリマどころか、もぎり嬢までありとあらゆる劇場関係者が劇場から煙のようにいなくなっていたそうである。

『鳴神屋加排店』(喫茶店)
時の止まったような喫茶店。内部には小さな川が流れ、レトロちっくな調度品の数々。ボサノバが流れている。中には、本当に時間を忘れていつづけるお客もいるそうである。しかし、驚くなかれ実はここは不在のカフェなのである。いつカウベルを鳴らして店内に入っても、店には誰もいない。目を離した隙にいつのまにか、メニューや、香ばしい匂いがする加排が置かれている。水滴をまとったグラスに入ったメロンサイダーに、美味しそうな匂いが鼻腔を撲るホットサンドウィッチ。不思議なことにいつのまにか現れる飲み物や食べ物は、丁度メニュー選ぼうとしていたものばかり。お客の間では不在のマスターと親しまれていて、彼は異常な恥かしがり屋のサトリか、透明人間のサトリではないかと噂されている。はてさて、不在のマスターの正体は如何??

『少女屋』(娼館)
美しき人形の館へようこそ。
美少女と美青年。黒いドレスのコッペリアと白い裾の長い中国服のコッペリウスが経営する少女屋は、シノワズリー風の外観の悪夢のように美しい娼館。コッペリアとはコッペリウスが作った人形。『少女屋』のコッペリアもコッペリウスが紫の上よろしく育てたと言う噂である。麗しきコッペリアの説明によれば、普通の楼館に比べるとかなり毛色の変わった娼館とのこと。
『少女屋』では、禿のくらいの年頃の少女達がお客たちの相手をするらしいが、その少女たちは特殊な育てられ方をしたらしい。彼女たちは花魁も顔負けな教養を仕込まれているという話である。秘密の花園と言うところであろうか。
『少女屋』では一部屋毎、趣を凝らした内装と、しどけない少女達が待ち受けていると言う話である。中には少女の格好をした少年もいるらしい。美しき人形の館。コッペリウスとコッペリアが古今東西から集めた少女達らしい。ただ人によっては彼らの少女の仕入れ裂きは『卵屋』ではないかと言う。因みに、コッペリウスによれば、少女達全員に、纏足を施しているとのことである。麗しき囚われの少女達
鳥篭娘
鉄製の中国風の大きな鳥篭の中に寝台が置かれている。鳥篭の部屋の主は金糸雀と呼ばれる少女。黄色のチャイナドレスに、美しい声で歌いまする。ただし、少女は、歌いはすれど、言葉を喋る事はない。
真珠姫
青一面の部屋の真申には、真珠貝を模った寝台と小さな西洋風のバスタブ。バスタブの中でゆらゆらしていますは、青いきらきら光る尾びれをつけた人魚姫。こちらも金糸雀に負けず劣らず、美しい歌で聞くものを惑わせる。
十二夜
暗闇のカフェに、男装した少女と女装をした少年の双子が座っている。少女は黒いベルベットの三つ揃えに真紅のネクタイ。少年は、鹿鳴館の舞踏会に出るようなバッスルスタイル。蓄音機から流れる音楽に合わせて踊ります。だんす、だんす。
伽倶耶
御簾の奥には、十二単を着た少女がひとり。注文の多い少女。天井には、フラスコ画のごとく棚引く雲と赤い満月がゆらめき、部屋中に白い兎の人形と竹林。少女は扇の影に顔を隠し、くすくすと笑う。
死女の恋
オフェーリアと呼ばれる少女が船を模した花を散らした寝台に横たわっている。アスラバスターのような肌にふっさりとした睦。白い薄物に、黄色い水仙のブーケを持つ先細りした手。死女と言うだけあって、その体は恐ろしいくらいに冷たい。
お気に召しましたら、一度ご足労下さいませ。くすくすと笑うコッペリアを膝に乗せたコッペリウスがコッペリアの髪を撫でながら優しげな声で言った。

オテル・エトランジュの周りはこんなとこ。