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透夏(とうか)
透夏(とうか)
novelistID. 1875
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続々・三匹が行く

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 引くわけがない。まだ先に申し出てきただけでも立派なものだ。
(……しかし、師匠としてのプライドが……)
 だが、ここで許可しなかったらどういう行動に出るかはなんとなく予測がついていた。
 彼のことだから何を投げ捨てでも自分の意志を貫き通すだろう。
 ……しかし、自分で言うのもなんだが宮廷魔道士という職はそれなりに魅力があるものではないかと思う。
 特に彼は実力派の五人の中から最年少で選ばれたのだ。家族からの期待も大きいだろうし、何より弟からの尊敬の眼差しが一番嬉しいだろう。
 『休み』という形で申し出てきたのもその証拠。
 だから……
「おい、イジューイン」
 ちょっと意地悪をしてみようと思った。
「『許さん』とわしがゆーたら、お主どうする?」
 さて、彼はどう返してくるか。
 本気で許さない気はない。自分もそれなりに彼の力は認めているし、辞めさせてしまうには惜しい人材だと思っている。
『別に良いぞ』
「は?」
 イジューイン自身からの返答はなかった。
 代わりに非常に聞きなれた声がただ一言を返してくる。
『別に良いぞ』
『別に良いぞ』
 その声はイジューインが手にしている水晶球から発せられていた。
 クリスタルオブメッセージ。通称COM。
 魔法の一種で、水晶球に自分もしくは相手の声を封じ込め何度でも再生するというものである。
 元々の水晶球が高価なのと、封じ込めるタイミングなどが中々難しい高級魔法なので一般にはあまり普及していない。せいぜいが裁判などで使用されるくらいだ。
 それが今、一つの台詞のみを発声しつづけている。
『別に良いぞ』
『別に良いぞ』
『別に良いぞ』
『別に良いぞ』
 それは先ほど何気なく頷いた時の自分の声。
 弟子の手際の良さに感心するとか、そこまでの魔法を扱えるようになっていた事に感心するとか、高価な水晶を一体いつの間に手に入れたのかとか、そんな事を思うよりまず先に叫んでいた。
「でっ、出ていけ! こんの馬鹿弟子ッ!!」
「いってきまーす♪」
 対してイジューインは実ににっこりと笑ってそう返し、扉を開いた。
「帰ってくんな!」
 思わず手元にあった本を投げつける。
 それをひらりとかわしてイジューインは優雅に一礼する。
「本は大切にしてくださいね」











「というわけ」