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恋に恋して

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そう、恋愛なんて、漫画や小説の中の出来事だと思っていた。

私は可愛くもないし、あの娘のように、みんなに明るく振舞うこともできない。
スポーツだってできない。
勉強だって、中の中くらいだ。
目立ったところなんて一つもない。
自分でも嫌になるくらい、地味な女の子だ。

休みの日は、テレビを見て過ごす。
学校の休み時間には、図書室で本を読む。
友達はいるけれど、自分から遊びに誘うことはできない。
趣味と呼べる趣味もない。
誰にも嫌われていないけれど、誰にも相手にされていない。
ずっと、そんな気がしていた。

少女漫画を読むのは好きだった。
少女漫画の主人公は、明るくて、活発で、自分とは正反対だった。
たまに自分に似ている主人公がいても、結局最後はカッコイイ彼氏を作っている。
私には、絶対できない。

大人になれば、きっと結婚して子供もできるだろう。
でも、それはきっと自分よりずっと年上のおじさんで、お金をたくさん持っているだけの冴えない人物だろう。
それでもきっと自分は、その人のために尽くすだろう。
こんな自分と結婚してくれる人なのだから。
そんな風に、ずっと考えていた。
そう、考えていた。

そんな私に変化が訪れたのは、高校に入学してひと月ほど経った頃だった。
例の大型連休が終わり、クラスの大体の名前と顔を覚えた頃だ。
たまたま隣に座っていた男の子が、私によく話しかけてくれるようになった。
私が休み時間に読んでいた本を、その人も持っているというのが、彼との初めての会話だった。
話してみると、驚くほど趣味が会う。
彼も、休みの日には自宅でゴロゴロして過ごすと言う。
お互いが、まるで自分の話をしているように感じるくらい、似た境遇で育ったということもわかった。

ある日、クラスメイトの女の子が、私にこんな質問をした。
「ねぇねぇ、最近あいつとすっごく仲良いけど、もしかして付き合ってんの?」
私はすぐにそんなんじゃないよと答えた。
でも、その日の夜。
ベッドに潜った私は、その言葉がずっと頭から離れなかった。
彼は、私のことをどう思っているんだろう。
一度意識してしまうと、それが気になってしょうがなかった。

席替えで遠い席になっても、彼は休み時間の度に私に話しかけてくれた。
作品名:恋に恋して 作家名:@龍太郎