小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

FIND OUT

INDEX|8ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 


――――――――――「しっかり目に焼き付けておくんだな。この最後の光景を・・」
そう告げた少年の声は冷たく、身体の奥底まで突き刺さるようだった。
少年が手に握った日本刀を振り上げる。
瑠萎は、もう何も考えることができず、今の状況に目をつぶった。
そして、少年は振り上げた刀を、瑠萎めがけて勢いよく振り下ろした―――――――――――――


「―――――・・・・・?」
いつまで経っても届かない刃(やいば)に、瑠萎は目を開いた。
そこには、先程まで自分の周りで燃え盛っていた“青い焔”と少年が持っていた日本刀が、何事も無かったかのように消えていた。
ただ一つ変わらないのは、座り込んでしまった瑠萎を見下ろしている白狐(びゃっこ)の面を被った少年だけだ。
「・・・どういう・・こと?」
瑠萎は、未(いま)だおさまらない震えを堪(こら)えて、声を振り絞った。
「・・・・・やっぱりか・・」
しばらく黙っていた少年が口を開いた。
「・・・・え?え?」
瑠萎は、どんどん変わる状況についていけていないようだ。

―――――――「・・・お、間に合ったみたいやな」
緊迫した空気が張り詰める場に合わない声が聞こえた。
瑠萎と少年が声のした方に振り向いた。
「先輩!?」
瑠萎が驚きの声をあげる。
「よォ」
瑠萎に呼ばれた上総(かずさ)は、いつもの笑顔で返事をすると、座っている瑠萎に手を貸した。
瑠萎は、上総の手を借りて立ち上がると、状況が掴めないという顔で上総と少年の顔を交互に見た。
「・・・え?何?どうゆうこと?」
「まあまあ、詳しい話は後や。それより、燐。もう面取ってもええんちゃう?」
「・・・・そうだな」
上総に促(うなが)され、少年は白狐の面を取った。
「あぁぁぁぁぁぁああ!!やっぱり!」
面を取った少年の顔を見るなり、叫び声をあげる瑠萎。
「やっぱり!アンタ、白銀(しろがね) 燐(りん)じゃん!!さっきの炎!やっぱり犯人は白銀・・・」
「うるさい」
大きな声で喋りながら詰め寄ってくる瑠萎を、燐の冷めた声が制した。
「詳しい話は後だと言っただろ」
「能力(ちから)も解ったし、とりあえず行こか」
「能力って何!?行くってどこに!?」
瑠萎は何も知らされないまま、連れ去られるようにして、どこかに連れて行かれた。





強制連行され、どれくらい経っただろうか・・・
三人は人気(ひとけ)の少ない通りに来ていた。
それまで、全く速度を緩めず歩いていた燐と上総が、急に立ち止まった。
「?」
それにつられて瑠萎も歩みを止める。
すると、燐と上総が小さな声で話し出した。
「やっぱり最初に処分しとくべきだったか・・・?」
「ま、えぇんちゃう?どっちにしろ結果は変わらへんのやから」
「??」
瑠萎に、燐と上総の話している内容(こと)は聞こえていないようだ。
「そろそろ出てきたらどうや?」
上総が、何も居ないはずの物陰に呼びかける。
すると、その物陰の周りからゾロゾロと不良のような人影が出てきた。
ざっと二十人くらいだ。
その中から、列を割って大柄な男が出てきた。どうやら、隊長格のようだ。
「お前達の後を付けさせてもらった。その女をわたしてもらおうか」
そう言って、大柄な男は瑠萎を指差した。
「え!?」
衝撃の言葉に、瑠萎は驚きの声をあげる。
「そんな事できるかよ」
「その為に、ワシらが付けられたんやしな」
燐と上総が、瑠萎を庇うように一歩前に出る。
「やはり簡単にはいかぬか・・・。いくぞ!」
大柄な男がそう叫ぶと、いっせいに向かってきた。
それを合図に、燐が地面に両手をつける。
すると、そこからあの“青い焔”が広がり、地を這って、向かってくる男達を足止めした。
その隙に、上総が足元の小石を拾い上げた。
すると、その小石が黒く光って形を変え、一瞬で拳銃に変わった。
男達が燐の焔で足止めをくらっているうちに、上総が拳銃で次々に男達を貫いていく。
一瞬の出来事だった。
男達が襲い掛かってきてから、たった数秒で、しかもたった二人の手によって、二十人あまりいた集団は一人残らず地面に突っ伏したのだった。
その驚異の光景に、瑠萎は呆然とするしかなかった。
「えらそーな口叩いとったくせに、あっさり負けとるで。ブザマやのォ」
上総が、地面に突っ伏した男達を見て楽しそうに笑う。
「いいから早く行くぞ」
燐は相変わらずの無表情のまま上総を促す。
「なんや、せっかちやのォ。そんなに急がへんでも大丈夫やって」
そう言って、上総は無邪気に笑う。
一方、燐はそんな上総を見て少し呆れたような表情をした。
「・・・えっと・・・」
そこまで、黙りこくっていた瑠萎が口を開いた。
「どうなってんの?・・・コレ」
「あ~、スマンスマン。驚かせてしもうたか」
上総は優しく笑いながら、戸惑っている瑠萎の頭をポンポンと撫でた。
「ちょっ、先輩!?」
「ほな、行こか」
言うと、上総は歩きだした。
「え!?」
戸惑って立ち止まっている瑠萎を、上総が急(せ)かす。
「はよ知りたいんやろ?ほな、はよ行くで」
「はぁ・・・」
上総の言葉に促され、しぶしぶ歩きだした。
――てか、この人達はこのままでいいの?
瑠萎はそんな事を思いながら、地面に突っ伏したまま、ピクリとも動かない男達に目を向ける。
――死んではないみたいだけど・・・・
「おーい、はよ来いよー」
瑠萎から数メートル離れた所から、上総が呼ぶ。
「はーい」
瑠萎は返事をすると、上総のいる所まで駆けていこうとした――――――
その時、
「危ない!」
突然かけられたその言葉に、瑠萎が反射的に振り返る。
そこには、自分に襲い掛かろうとする男の姿があった。
――!!
しかし、その男は瑠萎の隣を駆け抜けた影によって、再び地面の上に倒されることとなった。
「大丈夫か?」
燐は、男が起き上がらないのを確認すると、瑠萎の方を向いて尋ねる。
「・・・・殺したの?」
瑠萎は、燐の持っている日本刀を見ている。
「いや、背(みね)打ちだ」
そう言って、燐は刀を鞘に納めた。
すると、刀は青い焔に包まれて消えた。
二人の間に張り詰めた空気が流れる。

「はいは~い」
しかし、その空気は、二人の間に割り込んできた上総によって破られた。
「さ、また襲ってこんうちにはよ行こか~」
そう言って、二人の肩を半ば強引に引っ張って、木々の陰の中に消えていった。



作品名:FIND OUT 作家名:リンリン