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恋の掟は冬の空

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そして静かに


「さ、休憩終わりでいいかな・・それとも今日はこれで終わりにしようか・・」
「はぃ 英語は今日はこれくらいにします。世界史も少しやらないと・・なので、ありがとうございました。」
丁寧に直美に頭を下げていた。
「夕子ちゃん、劉ね、もうすぐ退院になるらしいの。でも、時間空いてたらここに来るから遠慮しないで電話してくれる・・これね、こっちが私の部屋で、こっちが劉の部屋ね。どっちでもいいからね・・」
言いながら電話番号を紙に書いて夕子に渡していた。
「あ、いいんですか・・ほんとに電話しちゃいますよ」
「時間空いてるときならいいわよ。合格したら後輩だからね・・しっかり勉強しなさいよー」
「はぃ 先輩」
笑いながら夕子は元気に返事をしていた。
「そっかぁ 退院しちゃうんですね、柏倉さん・・」
「まだ、きちんと決まったわけじゃないけどね」
夕子より後から入院して、先に退院になりそうだった。
「劉と一緒にお見舞いにくるから・・劉も通院するんだし」
少しさびしそうな顔の夕子に直美が声をかけていた。
「はぃ。待ってますから」
少しだけ笑顔に戻った夕子だった。

「あのー 失礼しまーす」
病室の入り口の方向から夏樹の声だった。
「あ、いたいた、あんたたちずーっと来ないから大場と二人で退屈しちゃったぁ・・」
「ごめん、ごめん 夕子とちょっと英語の勉強してたから」
直美がちょこんと頭を下げていた。
「すいません、独占しちゃって でも、大場さんとふたりっきりもいいんじゃないんですかぁ・・夏樹さん」
夕子が夏樹を見ながらだった。
「なに言ってるのよぉ 声でかいんだけなんだから、あいつって・・」
「そうかなぁ・・けっこういい人ですよ、大場さんて。私けっこう好きですけど・・確かに声は大きいかなぁ・・」
「あらー いつでも夕子ちゃんにあげるわよー」
「いえ、他にもっと好きな人いますから、いいです・・」
二人とも笑いながらだった。
「あ、そろそろ帰ろうかなぁ・・って言いにきたんだった。どうする直美は・・ 大場が車で送るって言うから・・」
「もうちょっと いようかなぁ・」
俺のほうを見ながらだった。
「あ、乗せてってあげてよ。直美、明日も明後日もバイトあるんだし・・少し家でゆっくりしなよ」
もうちょっと直美といたかったけど、俺のベッドで寝ちゃうぐらいだったから疲れてるんだろうなぁ って思っていた。
「あれー 劉、なんかちょっとだなぁ・・ま、いいか・・家で少ししたいことさっき思いついたから、そうしようかなぁ・・」
俺の顔を見ながら少し笑っていた。
「じゃぁ、一緒に帰ろうか、直美・・さびしい顔に見えますがいいですか・・」
「うん。でも、ちょっと帰り道に、買い物に少し付き合ってくれる?」
「いいよー 何買うのよ」
「たいしたものじゃないから・・じゃぁ 劉、今日はこれで帰っちゃいますけど平気?」
丁寧に聞かれていた。
「そのかわり、水曜は学校終ったら寄ってね、直美」
「うん。3時ごろには来るから・・待っててね、劉」
いつもの笑顔だった。
「いいなぁ・・なんか・・」
夕子だった。
「じゃあ、夕子ちゃんはがんばって勉強してね、水曜日来るからね、またね」
「はぃ、また デート邪魔しちゃってすいませんでした」
うんうんいいのよって 直美はうなづいていた。
それから 直美と夏樹が夕子に おやすみを言って3人で病室をでた。
大場はロビーで待っているらしかった。

「まったくー 俺が来てるの忘れちゃったんでしょ、あんた達は・・」
「ごめんごめん、忘れてないってば、大場君」
直美が笑いながら大きな声の大場にだった。
「直美も一緒に帰るってさ、送ってってね。途中で買い物あるらしいから、そこにも寄ってあげてね」
夏樹が大場にだった。
「あれ、もういいの・・帰っちゃっても・・」
大場は俺と直美を交互にみながら不思議そうな顔をしていた。
「大場、悪いけど 送ってってあげてくれる。安全運転でね。事故ったりするなよ」
「えー 劉はさ、俺って見かけよりしっかりしてるの知ってるくせに・・はぃはぃ、きちんとお届けしますよぉー ま、安心してベッドで寝ててください。事故でもしたら劉にその松葉杖でおもいっきり頭を殴られそうだからな」
「たのむわ」
「あいよー」
直美も夕子も笑って聞いていた。
「うんじゃーいくかぁ 大場が安全運転させていただきますので お二人さんいきますかぁ・・忘れ物ないですかぁー」
「あ、お弁当箱・・寧々さん ナース室にいるかなぁ・・」
まだ直美のところにお弁当箱は戻ってきていなかった。
「みんなで、寄って挨拶して帰ろうか」
夏樹の声で一緒にナース室に歩き出していた。

「すいませーん 寧々さーん お弁当箱なんですけどー」
ナース室の奥でいそがしそうに事務仕事をしていた寧々ナースに直美が声をかけていた。
「あ、ご馳走様、すごーくおいしかったぁ・・綺麗に食べちゃった」
「いえ、よかったらまたどうぞ・・お弁当箱取りに寄ったんですけど・・ありますかぁ」
「あ、ごめん さっき見かけなかったから、柏倉くんの病室に置いてきちゃった・・」
「あ、そうですか。すいません ずっと夕子ちゃんのところに居たから・・」
「そっか、そこだったか」
「はぃ では今日は帰ります、お邪魔しました」
直美の声で 夏樹も俺も頭を下げていた。
「うんじゃー また来ますねー どうもでしたー」
大場は大きな声でナース全員に頭を下げていた。

「じゃぁ、エレベーターの前で待っててよ、俺、お弁当箱取ってくるから」
言いながら病室に向かうことにした。
後ろから、私もって、直美の声が聞こえていた。
「ゆっくり歩きなさいよー」
追いつかれて直美に小言を言われていた。
「待ってていいのに・・」
「えー なんでよーわざわざ 追いかけてきたのに・・」
腕を掴まれていた。
病室に入って、ベッドのところにいくと、小さなテーブルの上にきちんとお弁当箱が置かれていた。
「あ、私が持つから・・」
直美が先にお弁当箱を持ち上げていた。
「はぃ どうぞ」
小さな声と一緒にキスをされていた。
「ありがと」
声に出さずに答えていた。
「よかった キスできて・・」
うれしそうだった。
「金曜まで、病院でキスするの1ヶ月も我慢して損しちゃったね、劉」
にっこりだった。

「あー あんた達、場所を考えろってー まったく」
エレベーターの前で大きな声の大場が待っていた。
左手の松葉杖の俺の手の上に直美の手が乗っている事を言っているようだった。
「うっさいって 大場・・」
また夏樹が大場を怒っていた。
「うゎー キスしちゃったのぉ・・」
ナース室から大場の声を聞いてあわてて出てきた寧々ナースだった。


にぎやかな日曜外科病棟は少しづつ静かに暮れていくようだった。

作品名:恋の掟は冬の空 作家名:森脇劉生