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恋の掟は冬の空

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夕方に向かって


「あれ、私たちのも買っておきなさいよー 気がきかないなぁ・・」
しばらくしてロビーにやってきた夏樹が大場にふくれっつらだった。
「だってさー 買っておいてもよかったけど、これじゃないのがよかったなぁ・・とか言いそうだもん、夏樹って。前にも言われことあるし・・俺」
「そんな事あったかなぁ・・ あ、直美はちょっと夕子ちゃんとこに寄ってるみたい。すぐに来るとおもうよ」
最後のほうは俺に向かってだった。
いい終わると夏樹は自販機に向かうようだった。
「夕子ちゃん、今日、俺みてないや・・勉強でもしてるのかねー 劉はみかけた?」
「うん。さっきさ、お昼を3人で食べて、それから おかーさん来てたみたいだったけど・・」
「ふーん、高校生の おかーさんってさ、1回だけ見かけたんだけど、若くて綺麗だよねー」
また、でかい声で言わなくてもの大場だった。
「声がでかいってば・・まったく」
買ってきたジュースで夏樹は大場の頭を小突いていた。
「なんだよー 痛いなぁーまったくー」
ほんとに軽くだったから、大場はわざと怒っているようだった。
「おおげさなんだってば・・大場は・・いっつも・・」
いいながら夏樹は大場の横に座っていた。

「クリスマスどうしようかなぁー」
夏樹だった。
「俺って夕方までバイトだけど そのあとは空いてるけどぉ 食事でもいくか?」
大場がうれしそうな顔で夏樹の顔を覗きこみながらだった。
「今のは ひとりごとで、大場に言ったわけじゃないから・・」
笑いながらだった。
「なんにもなければ 大場に高い肉でも食べさせてもらえばいいのに、夏樹・・」
「安くてバカみたいにうまい焼肉屋なら知ってる、俺」
大場が笑いながらだった。
「だから、大場はいいんだってば・・直美と一緒に私の家でご飯でも食べようかなぁって考えてたから、今、誘ったんだけど・・断られちゃったからさぁ・・」
「え、そうなの・・10時まではバイトとは言ってたけど・・」
「その後で、一緒にって言ったんだけどさ・・ダメだってさ」
ほんの少しがっかりって顔にも見えた。
「へー なんでだろ、夏樹と直美と俺とで鍋なんていいのにねー」
大場は、想像してニコニコしていた。
「何でだろ・・一緒に夏樹がご飯でも食べてくれると、うれしいんだけど・・俺まだ退院できないし」
「俺もいれてってば、それ・・」
大場らしかった。
「劉がさ、入院してるのに私だけ楽しいクリスマスは、ちょっとだってさ・・直美が・・・」
夏樹が俺を見ながら、少し笑顔の、呆れ顔のだった。
「直美らしいねぇー ねっ 劉」
夏樹にまだ 言われていた。
「そんな事言ったのかぁ・・後で言っておくから、よかったら一緒にご飯でも食べてあげてよ、夏樹」
「あ、たぶん 無理、直美ってそういうとこ頑固だもん」
「あんたは うるさいってば・・」
大場が夏樹ににらまれていた。
「ちょっとはさ、直美ちゃんみたいに、かわいくなんなさいよ夏樹も」
大場の反撃らしかった。
「絶対、大場となんかクリスマスにご飯食べない」
またまた、にらまれていた。
「そこまで 言わなくても・・」
ちょっとこたえたみたいな大場だった。
「まぁまぁ 直美がいくって言ったら3人で鍋でも仲良くやりなよ」
とりあえず間にはいらないとだった。
「ちょっと夕子の病室見てくるわ。おまえら喧嘩しないで、しゃべってろ、ここで」
どうもにも誰かがいると口げんかの多い二人だった。
「あいよー 説得してきてね、俺の鍋もかかってるから・・」
大場に背中越しに言われていた。
「あんたは、関係ないんだってば・・」
夏樹の声も聞こえていた。
笑いながら、夕子の病室に向かっていた。

夕子の病室はここからだと、俺の病室を通りこして5つ目の部屋だった。
「失礼しまーす」
女の子だけの部屋だったから、声を静かにかけながら、奥の右側のベッドに向かっていた。
「劉?」
直美の声だった。
「うん、勉強してるの・・」
いい終わらないうちにカーテンを開けて直美が顔を出していた。
「すいません 今日もお借りしてます」
参考書をいっぱい広げた夕子だった。
「夕子ちゃんやっぱり2つしか受験しないんだって・・だからちょっとお手伝いね。おかーさん悩みながら帰ったらしいよ・・もう2つぐらい受験すればってさっきも言ったんだけど、どうしても私の大学がいいんだって・・」
困った妹って感じで夕子の顔を見ながらだった。
「そっかぁ じゃあ 頑張らないとね」
「はぃ 頑張ります。絶対合格しますから、じゃないと直美さんお借りしてるのに柏倉さんに怒られちゃいますから」
「そんな事は言わないでいから まじめに勉強ね、劉はロビーで大場君と夏樹と遊んでてよ」
「うん。でもさ、なんか俺がいるとあいつら喧嘩ばっかりしてるから 逃げてきたんだけどね」
「そっかぁー 本当は仲いいのにねぇー」
いつも俺も思っていることだった。
「ここに椅子置いて静かにしてるから、いいよね。邪魔しないから」
窓際の場所をさしていた。
「うん。いいかなぁ 夕子ちゃんも」
「はぃ 大丈夫です」
直美に聞かれて元気な返事の高校生だった。
「じゃぁ。このマンガ貸してね」
少女マンガだったけど、ひまつぶしにはなるかなぁって考えていた。
それから、静かな二人の声を聞きながら、ずっと窓際でマンガを読んでいた。
一生懸命な直美と、一生懸命な夕子だった。
わけのわからない英語の単語が飛び交っていた。

作品名:恋の掟は冬の空 作家名:森脇劉生