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フレンドボーイ42
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KE1of4 鍛冶屋エンリュー

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 剣士がいる世の中において、ファンタジー世界では申し訳程度のモブキャラか、もしくは全く登場してこない、仮にでて重要な役を占めても人の記憶に残らない、そんな縁の下の職業。
 剣を使うなら誰だって一度ならずお世話になる人たち、それが鍛冶屋。彼らの職人技のおかげで刃こぼれしたりひん曲がった剣を元に戻すことが出来る。
 エンリューとなのるその少年もまた、鍛冶屋の一人だった。彼には他の鍛冶屋と違い、どこでも仕事を受けられる、という売りがあった。これには彼自身の変わった能力が起因している。
 彼は、炎を自由自在に操れるというのである。
 手から指から、とかく様々な箇所から炎を出すことが出来る。彼の服装をみても対して他の人と比べて見かけはそれほどではないが厚手の、しかもコーティングされた服は全く彼の燃え出すのに対して焼けて彼の裸を露出させる事態には至らない。彼はバッグの中には、金属のプレート(修復用)やハンマーなどを入れている。まさにどこでも鍛冶屋の完成である。…そんな彼は、鍛冶屋でありながら旅をする少年だった。旅の途中で友人になったりした人と2度あったときには必ず修復するなど、かなり律儀であり、どこでもどんな武器でも早く正確に打ってくれる鍛冶屋。
 とまあ、いろいろ紹介してきたが、そんな彼が今日やってきたのは鉱物の採掘現場だった。…いや、正確には採掘現場跡地、といった方が良かろう。鍛冶屋はこんな寂れた炭坑町に何か用があるのか、とふつうに首を傾ぐのは当然ではあろうが、ここは彼なりの考えはあった。彼の火の力を強めてくれる炭がないか、を探しているのだ。
 炭にもいろいろ種類はあるが、大体は燃えて二酸化炭素に転じてしまう。ところがごくまれにまったく転じない炭があるのだという。もちろん余りに希少なために高価であるわけだが、エンリューはそれを買い付けにきていた。
 「用意しておいてくれましたか」
 「…ええ、こちらですよ」
 カーボンブラックの指輪。彼は提示された金額の500万スレッドを払い、その指輪をはめて火を出してみた。確かに強くなっている。
 彼はそして外にでた。すると多くの男たちが周りに集まっていた。
 「置いてけ」
 そういうことなんだろうな、と彼は思っていた。希少価値のあるものなら当然売り飛ばすためだけに買う連中もいるのだ。…バカバカしい。非生産的労働のすべてを否定はしないが、せめて自分で働いて買ってほしいものだ。
 「…」
 とはいえ、この多くの男に対して対抗するのは困難だった。少なくとも彼にとっては。
 彼はあくまで鍛冶屋であり、鍛冶屋以外のこと、つまり戦闘などは滅法弱いのだ。
 だが。

 「それでも彼らには勝てるね」

 彼は後ろから迫ってきた連中の剣を、背中に刺していた自分の剣で、受けるでもなく「当てた」。先攻どころか音すらしないほどに。それだけで、それだけなのに、…彼を狙った者たちの剣は粉々になった。ボスのような奴が、驚きながら、それでも必死に他のものをけしかけるが、みな簡単に剣を粉砕されてしまった。
 「あんたがボスかい」
 エンリューはその男に問う。
 「せこいことしてないであんたが来なよ」
 男はそれで逆上したように迫ってくるが、やはり同じことだった。
 「腕はいいのに…」
 その男を逆に両断すると、エンリューはつぶやいた。
 「刃こぼれした刀なんて使っているからだよ。…鍛冶屋を、なめんなよ」
 そうして彼はそのまま、倒れたボスに釘付けになった戦闘員たちの横を歩いていった。