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ワールドイズアキラズ

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5


「どうしてこんなことになったんだ?」
 ふとアキラは呟いた。
 その瞬間だった。
 世界が真っ白く染まり、そのあとに暗転する。
 不意に、その暗闇に明かりがともる。炎。赤い、炎だ。シキの瞳のように。
 そして何故か――自分の内に逆巻く、怒りをわきたてさせられるかのような。
 そうしてアキラ『達』は絶句した。
 自分と、同じ顔が。4人も一同に会している。つまり、異なる時間軸の『シキ』たちのように、この『アキラ』たちは自分と似て非なる存在なのか。そんなことを思ったとき。
「お、お前は……っ!」
 軍服を着こんだアキラが白いシャツ一枚を羽織っただけのアキラを見て絶句する。
「あ、『アキラ』」
 声をかけられたほうも答えた。どうやら二人は既に面識があるらしい。
 取り残されるのは、黒衣に身を包んだ二人。まるで、シキを模したような恰好。なぜ? という疑問が起きるよりも前に。
 けらけらと、面白そうな笑い声が暗闇に木霊する。
「望んだのは、『アキラ』じゃないか」
 アキラとは異なる声が響く。
 炎が収斂する。そして。現れた人影は――その頭に山羊のような角を生やしていた。
「悪、魔」
 ポツリとアキラが呟いた。
 悪魔。そうだ、この姿は、昔本で読んだ『悪魔』によく似ている。赤い瞳、薄茶の髪。どちらかといえば幼いとさえ言えるような容姿には、とてもそぐわない淫猥で邪悪な笑みが浮かんでいる。
「そう」
 とだけ答えて彼は肯定する。
「望んだ? どういうことだ?」
 黒衣に身を包んだアキラがその『悪魔』に問う。
「だってそうじゃないか。アキラは独占したいほどシキが欲しかったんだろう」
 言われて、どのアキラも黙り込む。事実だったからだ。
「それだけの思いを抱きながら、それだけの血を流したんなら、それは『悪魔』を呼び寄せる儀式みたいなものだ」
 くつくつとその悪魔は笑う。
 たしかに、願いはかなった。もっとシキが欲しい、違うシキがみたい、そんな願いがこんなにもゆがんだ形で。
 そう気づいた時、赤い炎とは違うきらめきが駆け抜けた。刀、それを斬りつけたのだ。黒い衣装に身を包み、クロスをその首に下げたアキラが。
「俺たちを元の所へ返せ」
 悪魔が目を丸くする。
 この『アキラ』が、真っ先にそれをいったことが意外だったのかもしれない。
「本当にアキラはそれでいいのか?」
作品名:ワールドイズアキラズ 作家名:黄色