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ひざむらい
ひざむらい
novelistID. 15984
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すずめ

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まきこちゃんは、足の病気になってしまいました。とても重い病気なので、まきこちゃんは歩くことができません。まきこちゃんは、毎日ベッドに横になって、本を読んでいました。ある晴れた日、ベッドの上から窓の外をぼんやりと見ていると、すずめが一羽、こちらをじっと見ていました。まきこちゃんは、「すずめさんはいいわね、自由に空を飛ぶことができて」と言いました。すずめは黙ってまきこちゃんを見ていました。
 その翌日も、まきこちゃんが窓の外を眺めていると、昨日と同じすずめがやってきました。まきこちゃんは、「あら、すずめさん、こんにちは。今日もきたのね」と言って、すずめに向って微笑みました。すずめは昨日と同じように、黙ってまきこちゃんの方を眺めていました。
 次の日も、そのまた次の日も、毎日すずめはまきこちゃんところへやってきました。まきこちゃんは、すずめが来るのが楽しみになってきました。ある日のこと、「すずめさん、私は足が悪くてどこへも行けないの。あなたが空を飛んで見てきたことを話してくれないかしら」と、まきこちゃんは微笑みながら、すずめに話しかけました。すると、今まで黙っていたすずめが、まきこちゃんが通っていた学校の様子や、よく遊んでいた近所の公園のこと、そしてまきこちゃんのお父さんが仕事をしている様子などを、まきこちゃんに話しました。まきこちゃんは、まるで自分が見てきたかのような気持ちになって、とても嬉しくなりました。すずめは、「まきこちゃんが喜んでくれて嬉しいです」と言いました。それから、すずめは来る日も来る日もまきこちゃんに空から見た近所の様子を話しました。
 まきこちゃんは、すずめに毎日外の様子を話してもらってるうちに、自分の力で色んなところへ行きたくなりました。しかし、まきこちゃんは足が悪いので、どこへも行くことができません。まきこちゃんは悲しくなってきました。そこへまたすずめがやってきました。「まきこちゃん、どうしたの?」と、すずめは心配そうに聞きました。「すずめさん、あなたは自由に空を飛ぶことができていいわね」とまきこちゃんは言いました。すると、すずめは、「じゃあ私と一緒に空のお散歩をしましょう」と言って羽をぱたぱたさせると、すずめの羽から金の粉が飛び散って、まきこちゃんの体につきました。すると、まきこちゃんの体はふわふわと浮き始めたのです。すずめは「これでまきこちゃんも空を飛べるよ、付いておいで」と言って、窓から外へ飛んでいきました。まきこちゃんは、はじめはふらふらしながらすずめの後を追って窓の外へ飛んでいきましたが、しばらくすると慣れてきたので、まっすぐに飛べるようになりました。まきこちゃんとすずめは、町のはるか上空を、一緒に飛び回りました。空を飛んでいると、風がとても爽やかで、とても気持ちがいいのです。そして下を見れば、山もあれば川もあるし、公園や学校もあるのです。まきこちゃんのお友達の姿も見えました。まきこちゃんは、本当に幸せな気分になりました。その時、すずめが急にスピードを上げてはるかかなたの方へ飛んでいきました。「すずめさん、待って」と叫んだ時、まきこちゃんは夢から覚めました。
 まきこちゃんは、とても幸せそうな顔をして目覚めました。しかし、現実ではなかったことがわかって、少し寂しくなりました。ふと窓を見ると、夢に出てきたすずめとよく似たすずめが窓から外の方へ飛んでいきました。まきこちゃんは「あ、すずめさん」と言って、思わずベッドから飛び起きて追いかけようとしました。次の瞬間、まきこちゃんは、「あっ」と言いました。まきこちゃんは、歩けるようになったのです。まきこちゃんは自分の体を見ると、金の粉がかかっていました。

作品名:すずめ 作家名:ひざむらい