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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS08 名を変え品を変え

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「一人の男が船の中で散った」

 あの日、彼はその血に赴いていた。まだその時は命は国家に捧げるものという信仰があった。今時の新興宗教よろしく、どうも日本人というのはカルトというものにいつの時代も惑わされるようなきらいがある。地下鉄にサリンを撒くような物騒な団体はさすがにもうそうそう見られなくなったけれど、今でも名を変え品を変え、今日も元気にカルト宗教はその辺に散在している。あなたが今、ランキングを見て手に取ったその本が、もしかしたら新たなステージへたつ一歩かもしれないというわけだ。
 彼は、飛行機に乗らない。船にのる方を選んだ。飛行機は天地の間隔が崩れるからだ、といっていた。確かに船に足を着けていればそれだけで安心することだろう。だけど、戦争というものをそういう視点で考えるとき、彼は多少甘かった、といわざるをえない。船が突如真ん中から避けていくようになると、船は自重だけで傾いていくのだ。われさけた船の上は当然天地の間隔がなくなる。まあそうとはいえどもそのときにはさすがに彼も死を選ぶのだろうが…。

 彼は、その信仰していた「国」に葬り去られた。国が軍用戦艦の整備を厳しくしていれば人も救われ、戦争にも勝てたのかもしれない。

 かつてニホンという国で起こった悲劇は・名を変え・品を変え・この国でも・おこった