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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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ブランク青年とマスター

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「で、お前さんもいい加減に親父さんに迷惑かけないで独り立ちしたらどうだい。もう大学にも行ってないんだろう」
 「こんなのだれが雇ってくれますかい」
 「そういう心掛けがダメなんだよっての。気合があればバイトくらいできるだろうが。そんなのならミュージシャン目指してフリーターやってるやつのほうがまだましだぞ」
 「なんていうか、昼間の世界が怖いんですよ」
 「まあお前のうちの厚手のカーテンなんて見たら分からあよ」
 英一の部屋の遮光カーテンは昼間でも夜のように感じられる暗さを確保している。彼はそうして昼間を寝て過ごし、夜にこの店にやってくるのだ。
 「そのお金も親父さんからもらってるんだろ」
 「まあそうですね」
 「まあそうですね、じゃねえんだよ。こっちが申し訳ないっての」
 「まあいいじゃないですかマスター」
 「で、最近は何かしているのか。まさかこの店に来るだけで他はなんもしてねえわけじゃねえだろうな。趣味とかないのか」
 「漫画描いてますよ」
 「同人とかいう奴だろ」
 「ええ」
 「文学同人はいいけど漫画同人とかゲーム同人が最近多くなっちまったな」
 「文学はもう商業の世界か、そうでなきゃnovelist.jpとかpixivでも、という感じでしょうね」
 「昔は俺もサークルの連中とワイワイやってたけどな」
 「東大出身でしたっけ。なのになんでバーなんてやってるんですか」
 「向井理とかも明大出でバーやってたじゃねえか」
 「…」
 「教養あったほうが話には向いているだろ。お前もせっかく早稲田でたんだから営業職でも狙ったらどうだ」
 「またそういう話に」
 「で、原作から考えているのか」
 「いいや、俺は3人のやつの作画だけやってるんですよ」
 「『バクマン。』かよ」
 「ジャンプ読んでるんですか」
 「後ろを見ろ」
 後ろにはジャンプのほか、マガジンが置いてある。
 「客用じゃないんですか」
 「読んだら客に回してるだけだ」
 「なんで買ってるんですか」
 「こち亀が好きだからだ。最近絶望先生というのがあると教わったしな」
 「…そうですか」
 「で、それはどういう話なんだ」
 「今持ってるから見せましょうか」
 彼はそういって鞄を探る。
 「はいよっと」
 「…この羊羹蜥蜴って何だ」
 「友達ですよ」
 「やっぱりニートとかフリーターなのか」
 「いや、定職についてますよ。金に困った時には助けてもらってます」
 「…そうかい」
 「後ろに小説も載ってますよ」
 「…これは」
 漫画を読むとどうしてもこの作者のストーリーはどうなんだ?と思わせられるような出来だったが、おそらくこのマンガを描いた英一の画力が悪かったということだろう。しかしここまでの作品をあそこまで妻楽でkるとは英一はマイナス才能でも持っているのではないだろうか。小説としての作品は伊坂と並んでもいいのではないだろうか。そう英一に聞くと、すでに作家デビューが決まっているのだと答えた。
 「絵はいいのにコマ割り下手すぎなんだよ」
 「イラストレーターにはなれますか」
 「食っていくのは難しいけどな」
 「ああもう、いっそマスターが店くれればいいのに」
 「お前バー経営なめているだろ。簡単じゃねえぞまったく、仕込みとか土地代とかいろいろかかわってくるんだからな」
 「もしできたら継がせてもらえますか」
 「なら明日の朝からここで修行するか?やめたいって絶対言い出すにきまってんだ」
 「そう言われると俄然やりたいと思います。明日からやらせて下さいよ」
 「けっ、簡単に言いやがる」
 そういいつつマスターは少し笑っていた。