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深川ひろみ
深川ひろみ
novelistID. 14507
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挽歌 - 小説 嵯峨天皇 -  第一部

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 自分が病の床に臥したときに、祟りが噂され、急遽祈祷が行われれば、誰とて気分がよいはずはない。
「自分は、呪われているのか!」
と考えるであろう。桓武同様に、いやひょっとするとそれ以上に、安殿は怯え、何度も顔を見たことがある穏やかな表情の叔父の顔が悪鬼に変わっていくさまを夢に見た。それが、桓武を一層の祈祷に走らせる。安殿は追いつめられ、その精神の不安定さが、今度は肉体にはね返り―――という、悪循環が形成されたのである。
 もともと安殿はやんちゃだが、決して豪胆ではなく、むしろ神経質で癇が強い。その気質がさらに増幅された。かれは始終苛々し、ひっきりなしに頭痛と吐き気とを訴えるようになった。
 帝と東宮と。国家の中心たるべき二人が傍目にも分かるほどの動揺ぶりを衆目にさらすのとまるで歩調を合わせるようにして、都の治安は乱れ、痘の流行も重なって、長岡京は極度に不安な空気に包まれていったのである。