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花園学園高等部二学年の乙女達

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それぞれの思考③




山梨和野は浮足だっていた。
ぴしりと背筋を伸ばしまっすぐに黒板を見る。
周りの女子生徒も心なしかふわふわざわざわと騒がしい。


…和野は彼女達が苦手だ。
極道一家の一人娘で喧嘩っぱやい彼女にとって、この学園の正真正銘のお嬢様たちは正直なところ性に合わなかった。

…だからこそ彼女は浮足だっていたのだ。


和野は可愛らしい瞳を薄くし微笑んだ。ふんふんと軽く鼻唄を鳴らす。

(このクラスに男の転校生?うふふ、異物以外のなにものでもないじゃない。)

私たち3人以外にやっと異物が増えるのだ。
例え不細工だろうとうんと可愛がってやろう。


…しかし彼女の可愛がりかたは極道方式なのでなかなか怖いところがあるのである。


和野はちらりと朱美を盗み見た。
暇そうにドイツ語の本を読んでいる。
多分裕子に勧められたのだろう、彼女は裕子信者だから。
それにしても整った顔立ちだ。

和野は朱美ほど美しい人間をお世辞抜きでまだ見たことがなかった。
彼女は本当に青年のような少女だ。

活発で、背が高くて…。




くうくうと朱美が居眠りを始めたので、次に和野は裕子を盗み見ることにした。
いつも通り背筋がよく、そしらぬ顔で何かノートに書いている。
ここからだとよく分からないが、どうやらスペイン語のようだ。

彼女は何か重要なことを書くときスペイン語を好む。
学園のお嬢様方は同じヨーロッパでもドイツ語とかフランス語とかはよく知っていたが、スペイン語はなかなか手がだされていなかった。
裕子はそれが好みらしい。
それに英語とわりに似ているのでフランス語よりは簡単だ。
…と、フランス語も完璧な裕子がこの前語っていた。


彼女は面倒くさがりのくせに興味のもったことにはとことん執着して習得するのだ。

和野は未だに裕子がよくわからない。
けれどそんな裕子が大好きだった。