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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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まどべのことり

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 高いマンションのてっぺんです。一番端の部屋の窓辺に、鳥かごがおいてありました。
 その中に、くちばしが赤く、翼は緑色で尾羽の青いきれいな小鳥がいました。
 あるとき一羽の若いすずめがこの鳥に目をとめ、友だちになりたいと思いました。
 そうして毎日この窓にやってきて、いっしょうけんめい小鳥に話しかけました。
「おはよう。今日もいい天気だね。ここはながめはいいけど、ビルばかりであきるだろ? ほら、おおいぬのふぐりだよ。公園に咲いていたんだ」
 でも小鳥はなんにも言わず、かごの前に置いた花をちらっとも見ません。すずめは悲しくなって、ため息まじりに言いました。
「きみはきっと外国から来た鳥なんだね。だから、ぼくの言葉がわからないんだ」
 それでもすずめは、毎日小鳥のもとを訪れては、自分が見たきれいな景色のことや、カラスにいじめられたことなどを、おもしろおかしく話して聞かせるのでした。
 ある日のこと、すずめがいつものように小鳥のそばですごして帰ろうとしたときです。「ぴぴぴ ぴぴ」
 突然、小鳥が歌い出したのです。
「やっと声をきかせてくれたね。とてもすてきな歌声だ」
 すずめはうれしくて幸せな気持ちになりました。
 ところが、しばらくすると小鳥はいなくなりました。窓辺には鳥かごがありません。すずめはベランダに止まって、あいている窓から首を伸ばして、部屋を見回しました。
「あら、いつものすずめさん。せっかくだけど、もう小鳥はいないのよ」
 その部屋にすむ奥さんが言いました。すると、奥からだんなさんの声がしました。
「どうして捨てたんだい? あのオルゴール」
「だって、へんなのよ。ねじを巻いたときにならないで、とんでもない時に鳴り出すんだもの」
 すずめはもう小鳥にあえないのだと知ると、がっかりして窓辺をはなれました。
 それから小鳥をさがして、ビルの谷間や住宅街から、町はずれの野原まで、食べ物もろくに食べずに、毎日毎日飛び回りました。
 そして、木枯らしが吹く頃、すっかり身体が弱ったすずめは、とうとう地面に落ちてしまったのです。
 歩道の片隅の落ち葉の上に、すずめは横たわりました。ねずみ色の空から風花がひとひらふたひら落ちてきます。つきささるような寒さに小さな身体はがちがちとふるえました。
作品名:まどべのことり 作家名:せき あゆみ