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ルノ・ラダ ~白黒~

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災難



「ほんといい方法ないかなあ。」

ラダは、はああ、とため息をつきながら言った。

ルックは無視したまま目の前の焼き魚定食をもくもくと食べ続ける。
その横でシチューを飲んでたシーナが何が?と聞く。ルックが相手しなくていいよ、とぼそっとシーナに言った。

「ひどい、ルック。わたしがこんなに悩んでいるというのに。」
「だから、何なんだよ?具合でも悪いんか?」

ルックの忠告もむなしく、シーナは促した。

「ある意味具合悪い。ねえシーナ。あなたならなんかいい方法思いつくかなあ。」

シーナが首をかしげる。
ルックは相変わらずもくもくと定食を食べ続けている。

「ルノさんを押し倒す方法なんだけどね・・・?」

ブホッとシーナがむせる。
ルックは、きたないな、と顔をしかめた。

「悪りぃ。ってラダ・・・。お前何言ってんの!?・・・ああ、そういやお前、ルノに惚れてんだっけか。」
「ええ、そりゃあもう!!」
「・・・。でもよ、お前ほどの奴なら、こう、なんていうか・・・無理やり押し倒してどうにかなるんじゃないのか?」

力や顔的に、とシーナは言った。

「・・・だめでした・・・。」

って、やったんかいっ、とシーナは内心つっこんだ。
ラダは悲しげな顔で続けた。

「どれほどくっつきに行ってもルノさんは、なんていうか、よしよしって感じで頭はなでてくれるんだけど…。甘えてみても、どうも分かってないみたいだし。だからいっそ実力行使とばかりに押し倒してみた。そうしたらルノさんはいつものように軽く首をかしげる程度で、その後わたしを起こしてくれた。」
「おお、紳士だな。」
「でしょう。」

シーナの一言に、ラダはにっこりして答えた。それからハッとしたように慌てて言う。

「って、違う!!いや、違わない、ルノさんはほんとに紳士で素敵な人だが、違うんだー。」
「何言ってんのさ・・・。ナナミみたいに意味分からない状態になってるけど?」

ルックが呆れたようにぼそっと言った。

「もうルック、そんな冷たい事言わないで考えてくれないか?」
「知らないよ、そんなくだらないこと。僕はもう食事、終わったから。シーナ、後、よろしく。」

ルックはジロッとラダを見て言ったあと、シーナに丸投げし、するりと人ごみを抜けて行ってしまった。

「もう、ルックは相変わらずそっけない。じゃあ、シーナ。」
「・・・ルックめ・・・。」
「え、何か?」

ぼそっとつぶやいたシーナに、ラダはそれはそれは最高の笑み(背後に黒いものあり)でもって、黙らせた。


「よお、ルノ。」

夕暮れ時、ふらふらと歩いていたルノを見かけたシーナは近づいて声をかけた。

シーナはあの後散々ラダに付き合わされた。
ほとんどがルノに対する熱い気持ち(笑)を聞かされただけだが。

執務室にやってこない軍主に業を煮やしたシュウがやってきたことでようやく解放された。あれほどシュウが天使に見えたことはない。

「あ、シーナ。いい夕暮れだね。」
「あ?ああ、まあな。」

ルノは相変わらずのほほんとした様子でにっこりとシーナに答える。
シーナはため息をついた。
まあ、こんな奴だからな、ラダがああいいたくなるのも分からんでもないが・・・。

「ルノ、今何してんだ?別に用ないなら酒場でも行こうぜ。」
「え、ああ、そうだね、いいよ。」
「で、何してたんだよ、散歩?・・・まさかまた迷ってたとか、ないよな・・・?」
「・・・・・。」

迷ってたんだな、とシーナは生温かい目でルノを見た。

酒場はほどよく混んでいたが、いくつか席は空いていたため、適当に移動し、腰かける。

シーナがやってきた店の女の子に、にっこりと笑いかけながら注文した。
その後軽く話しかけた後、女の子はカウンターへ戻っていく。

「相変わらずだね、シーナは。」

ルノがニッコリと言った。

「お?ああ、まあな。ここはいいぜえ。可愛い女の子や綺麗な女性でいっぱいだからな。お前だったら向こうから声、かけてくんじゃねえの?」
「僕?あーうん、まあ、なんか声はかけられるけど・・・それだけだよ?」
「なんだよ、その薄い反応は!?あーもったいねえ。ルノさー、気に入った子とか、いねえの?」

シーナがさも惜しいといった感じで言った。

「うーん、そうだね、特には。」

それに対しルノはのほほんと答える。

「まったく・・・宝の持ち腐れってやつだよな。・・・そういやさ、ラダの事はどう思ってんだよ?」
「え?ラダ?ああ、とってもいい子だよね。」
「・・・いい子ぉー?はあー。」

ルノの答えに、シーナは全身で脱力した。

「・・・どうしたの、シーナ?」
「いや・・・。まあ、あれだ、あいつはほら、お前の事、好きみたいだし・・・。」
「ああ、うん、何かね、そうみたい。」

・・・反応、薄っ。そりゃラダもやきもきするはずだとシーナは苦笑した。

「えーと、まあ、あれだ、あいつも本気みたいだからさ、なんつーか、まあ、考えてみてやってくんない?・・・男同士だけどさ・・・。」
「え?ああ、うーん、そうだね・・・でもシーナ、どうしたの?お前がそんな事気にするなんて?」

そりゃあんだけ散々付き合わされてみろ、誰でもどうにかせざるをえんだろ・・・シーナはそっと溜息をついて呟いた。

「え?」
「ああ、いや。まあ、とりあえず飲もうぜ。」

やってきた酒を持ち、シーナが杯をあげた。
そうだね、とルノもあげる。

乾杯しルノは半分くらい、シーナは一気に飲み干した。

「ほんと、どうしたの?疲れてる・・・?」

ああ、今日はほんと疲れたぜ・・・内心そう答えつつ、シーナはいいから飲もうぜ、とあらたな酒を頼んだ。
作品名:ルノ・ラダ ~白黒~ 作家名:かなみ