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さすがに香奈子の堪忍袋の緒が切れた。

「謝りなさい！」

が、彼らに彼女の細い怒声が響くはずもなかった。

「はあああ！？」

ヤンキーの一人が、香奈子ににじり寄り、上からのぞき込むようににらみつけた。香奈子は見上げることなく視線だけでにらみ返した。

「何の理由があってこんな事す・・・「きーこーえーなーいー」」

ヤンキーは香奈子の言葉を遮り、わざとらしく耳に手を当てへらへらと答えた。相手を不愉快にさせる事を楽しんでいるのは誰が見ても明らかだった。しかし香奈子も負けていない。
右手でヤンキーの襟首をねじり上げ、左手でヤンキーの右耳をわしづかみにし、力一杯叫んだ。

「何でこんな事すんのよ！！！！！！」

さすがにこれは頭に響いたらしく、少し不快な表情をにじませながらヤンキーは答えた。

「たのしーから」
「楽しかったら何でもしていいって言うの！？」
「いーにきまってんじゃん」
「だめに決まってるでしょ！！」
「いーんだよ」
「あの子に謝りなさいよ！！」
「なんで」
「分かってるでしょ！！」
「わかんねー」

言うや否や香奈子の張り手がヤンキーの左頬に炸裂していた。「ぱちん」でななく「ばしいっ」という音が響いた。
女子高校生とはいえ毎日剣道で鍛えているだけに、腕力は並の男子と遜色はない。完全に油断していたヤンキーは体勢を崩した。

「んにすんだぉらぁぁっっ！！」

今度は頭に血が上ったヤンキーが香奈子の襟首をねじり上げた。しかし香奈子の怒りの色は全く褪せていない。

「言っても分からない馬鹿には体で分からせるしかないでしょう！？」
「んだおらあ！！殺すぞクソがあっ！！」
「やってみ