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水乃木蓮華
水乃木蓮華
novelistID. 11605
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ボクラノ 4

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翌日の朝、与えられた自室で目が覚めると、備え付けのソファーに煉が座っていた。
しかものんびりと、紅茶なんて飲んでいる。
自分の部屋で飲めばいいのに…と思ったが、もしかして自分たちが起きるのを待っていてくれていたのではないか。
「…おはようございます」
「ん、」
自分たちが最強かつ最凶と呼ばれたこの人物と会話していることが信じられない。
そして勿論恐怖感もある。
想像していた雰囲気とは違っていたものの、それは自分たちが“必要”だからだろう。
きっと、どうでもいい物に対しては、豹変するのだろう。
それこそ、“死神”と呼ばれるように。
「何か、用ですか」
「ああ、大アリだ。今日は何も知らない子供(ガキ)にここのことを教えてやろうと思ってな。」
ガキ、と呼ばれたことにカチンと来たが、逆らったらどうなるか分からない。
下手したら、死ぬ可能性だって大いにある。
たとえ自分たちが、本当に何百年も、何億年も前、神によって創り出された天使なのだとしても、死んでしまったらまた次を創り出せばいいだけの話。
代わりなどいくらでもいるのだから。
「もう分かっていると思うが…ここは天界。その名の通り、天使と神が護っている。そしてお前たちが居た所が人間界。そしてもう一つの世界が…魔界。悪魔と堕天使がいる所だ。」
天界と人間界、それは理解出来たが、魔界の堕天使というのに二人は引っかかる。
“堕”を取れば天使。堕天使とは何なのか、まだ寝ぼけた声で煉に問う。
「……大罪を犯した天使は堕ちる。俺もそこまで詳しくはないが、神によって天使の羽をもぎ取られ、魔界へと落とされると言うが…。」
とてつもなくグロい想像をしてしまった二人は、ひとまずは天使でもなく、悪魔でもない中間の存在だと考えることにした。
しかしふと考えてみると、自分たちにはその天使の羽がない。それでいて、天使と言えるのだろうか。更に質問を付け足す。
「…ああ、その為には神の所に行かないとな。」
「僕らがここへ来たのは、もう知ってるんですか?神様は。」
「勿論。俺が知らせるまでもなく、視えているからな。」
「……まるで盗撮ですね」
「…は、面白い事を言うな、お前たちは。…理由としては、天界にいる天使でさえも、神のやり方に反発する者は数多くいる。お前たちもやがて分かるさ、自分の手は汚さずに、周りの手を次々に汚させて堕落させる神のやり方をな。…そういうような、反逆者の動きを見る為さ。基本、怪しい動きがなければ視られることもない。」
今の煉の話が本当なら、神というのはどれだけえげつないのか。
人間が勝手に信じる、神の姿などとは程遠い。
それとも、全てを支配しているが故に、神自身も堕ちているのか。

煉のことを半分無視して黙々と考えていると、煉が突然ふきだした。
「お前たちは本当に面白いな。神が堕ちているなど、口に出して言ったのはお前達ぐらいだ。」
考えているうちに声に出してしまっていたのか。人間界よりももっと、神を信仰し、崇めているこの場所でそんな事を口に出してしまった二人は、死ぬのは嫌だと慌て出す。
「何、そんなに慌てるな。神はお前達を殺せない。お前たちは俺と対等の力を持っているのだからな。」
そんな力など身に覚えがない。
しかも、この東堂煉と並ぶ力なんて、更に身に覚えがない。
「さて、話を戻すぞ。次は俺たちに関係ある話。5人の聖天使のことだ。」
「…その中の3人が、僕らですか」
「情報通り、頭の回転が速いようだ。その通り、この東堂煉、水無月優輝、崎村翡翠がその中に入る。あと二人…そのうちの一人は森影耶真。お前たちを迎えに来たあの女だ。」
「…あ」
煉に毒舌を吐かれていたあの可憐な少女たと気付き、小さく声を上げた。
「ただ、あと一人が不明なんだ。場所は特定出来ているのだが、なんせあの国は広い。とても詳細が掴めていないんだ。」
「…国名、聞いてもいいですか?」
「ん、ああ…」
ロノマ。この世界…いや、人間界では指3つの中に入る大都会。
都会と言っても、ビルが建っているというわけではなく、あの国で大きな建物といえば一つしかない。国の主柱の城。そこにはさぞ美しい王女が住んでいるとか。
その名前を、二人は知っていた。
「綾瀬、乃愛…」
「……何?」
煉がその名前に反応したように片眉をぴくりと動かす。
そしていきなり、二人の肩を掴む。
「その名前…お前たち知っているのか、その女を!」
「え、ええ…仲、良かったんです。昔の話ですけど…」
「その女はどこにいる?!」
「どこって…ロノマの第3王女ですから…国の主柱の城に。」
それを聞いた煉は、肩の手を離して、うな垂れた。
何事かと思って見ていると、小刻みに笑っていた。
「…でかしたぞ」
「…?」
「綾瀬乃愛、それが5人目の名前だ!天使軍指揮官として命じる、その女を連れて来い。」
「えっ、ええ?!」
昔仲が良かっただけであって、今は連絡も何も取っていないことを言うと、そんなの関係ないと言われてしまった。
旧友同士なら話が通じる筈だと、無茶なことを言う。
半泣きで反発していると、なら外に連れ出すだけでいいと、条件を緩めてくれた。
それなら…と呟いた二人は、朝食も食べずに煉によって強制的に人間界に送り帰された。
「…でも、ロノマってどこだっけ?」
作品名:ボクラノ 4 作家名:水乃木蓮華