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違う夢を見ている

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 合わさった背骨はお互いの性別をしっかりと認識させる。視界にちらちらと入る潰れた指先は彼らの夢を表す。
悲しいのか。
伝わらない熱にもどかしささえ覚える。いつしか交差していた夢は海岸線から遠退く線路のように。寄り添っているように見えて遠く離れてしまっていた。


音楽で食っていく。

二人は共通の思いをもっていたはずなのに。
言葉は使用者によって意味を違える。


仁科は音楽をやりつづけ、それによって生計をたてることをいちばんに思っていた。

藤間は自分の納得のいく音楽で食っていかなければ意味がないと思っていた。


互いが互いを責めることはできない。

正解は人によって異なる。


夢が交差していた過去を思った。それは目の前に広がる瀬戸内の海のように、きらめいていた。


作品名:違う夢を見ている 作家名:おねずみ