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私の主張

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僕は次の日、講義の最中に嫌な夢をみてしまった。
あまりの恐ろしさに寝ながら涙が出た。
おかげで人の話をあまりというか全然聞かないことで有名な某先生に「何事だぁー!」と叫ばれてしまった。
教授は他の生徒が寝ていても何も言わないのに、僕が寝ていると何故かいつもからんでくる。
どうせでかいせいだ。
まったく…。

とにかく、僕はその夢のせいで講義中にぼろぼろと大粒の涙を流していたのだ。寝ながら。
夢の内容はいまいち覚えていないが、ただ目覚めた後でも無償に体が震えていたから相当恐ろしい夢だったんだと思う。

僕は頭をふりふり、涙をふいた。

なんか嫌な予感がする。

気のせいだといいけど…。

と、また寝たり起きたりしてやっと今日の講義は終わった。
今日は1コマしかとってない日だからもうすることがない。
いつもならばこのまま家に帰って以前友人に連れられて行った鑑定団とかいう中古屋?で買ったダンスダンスレボリューションなるものでダンスダンスするところだが、あいにくもうテレビは売ってしまった。
…ということで早速今日から鈴木にサークルを紹介してもらうことになったのである。

しかし鈴木とはひとつ授業がずれていたので90分まるまる+アルファ暇なことに変わりはなかった。

つまりはちょうどこの文と同じくらい無意味にだらだらだらだらとしていたのである。ナムナム。


そしてあと15分ほどで待ち合わせ時刻になるという時に僕はふっとある重大な発見をした。

それは待ち合わせ先の図書館でみかけたとある男女の発言によって発覚したのである。
その仲睦まじき二人のカップルはキャピキャピと図書館で、愛を語り合っていた。
男の方は鰻みたいなベストを着ていた。
女は明太子みたいなバックを抱えてけらけらと笑っていた。
僕は貧乏になってからあらゆるものを食べ物でしか表せれなくなってしまったようだ。

…ともかく彼等は目立っていた。
うるさくて。


女はうねうねと明太子の様にゆれながら男に甘えた声を出した。

「今度のさんあぁ、旅行さんあぁ、ミッキーに会いに行きたいなあ」

男は鰻…というよりもはや妖怪人間のように体をくねらせて応えた。
僕は寒気がしてきたため背中を向けその場を離れようとした。
…しかし、男の発言を聞いた瞬間に固まってしまった。


「んじゃあパソコンルームでホテル調べに行くかぁ★」


…そう、おにぎりサークルについて大学内にある共通L棟のパソコンルームで調べればよかったのだ。

ていうかなんだあいつらは学校の備品悪用するなという考えは考えている暇がなかった。

なんてこったとはこのことだ。

僕はちぃっと舌うちをした。

どうせならもっと早く気付いとけばよかった。

…まあ仕方がない。

サークルに寄ったあとでまたみに行けばよい。



僕はすぐに気持ちをきりかえ、全然関係ないことを考えた。


(あぁそれにしてもなんて爽やかな空…)

…それなのに、この妙な緊張感はどうだろう。


「♪あるかなあるかな素敵なおうちー」

胸にくすぶる不穏な空気をかき消すために僕は故郷のローカルなCMソングを歌った。
するとホームシックになってしまいむしろ涙がでてきた。

「鈴木ー!!!」


僕は寂しさに耐えきれず吠えた。

「うるさい。」

バッと振り返ると心底迷惑そうな鈴木が立っていた。

「なんてタイムリーなんだ!」

僕は鈴木に向かって駆け出して行った。
こんなことってそうそうない。
少女漫画なら恋のメロディーが始まりそうなところだが、生憎僕は男に興味はなく女の子は恐ろしく、恋とはよくわからんものだと思っているため何もおこらなかった。

その代わりまたも足がねじりしたたかに転んだ。

うちの大学はやけに床が歪んでいる!
というか僕の行く先々で何故か床が歪む!
迷惑な!


「はーいてて。遅いぞ鈴木」

鈴木は変な顔で僕を見ながら、

「あー悪い。んじゃ行くぞ。ついてこい。」

と応えた。
作品名:私の主張 作家名:川口暁