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　まどろみの中の彼女はきれいだ。知らない人の目をして、残酷に僕を見る。彼女はいつも笑っているけれど、僕はいつ彼女が手首をかききるだろうかと思っている。彼女はいつも死にそうな目をしている。
なんにも信じていない人の目だ。彼女には素敵な家族がいて、やさしい友達がいて、皆彼女を愛しているのに彼女はだれのことも信じていない。なぜ彼女がだれも愛さないのか。僕は気になってたずねたことがある。
「きっとそういう星のもとに生まれたからだよ」
彼女は書き物をしながらそう答えた。
「人よりたくさんもっていても欲しがる人はいる。人より少ないものしかもたないのに満足しいている人もいる。結局心のもちようだよ」
そうなのかもしれない。けれど何故彼女があんなにも欠落した目をしていたのか僕にはわからない。もしかしたら僕がそれなりに持っていれば満足できる種類の人間だからかもしれない。
人のことを理解しようとするのは優しさだろうか、傲慢だろうか。そのあたり僕にはよく分からない。やさしさは時に残酷だ。



たとえばかのじょのひとみのように。