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『アフターケア』episode 01

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(7)情報



私はいったん事務所に戻り、デジカメのデータをプリントアウトしてからゴミ屋敷へ向かうことにした。
プリントが終わると、そこに佐々木晶子の顔がある。
目の前で話す彼女は穏やかに見えたが、一人で居る時は少し気が強そうにみえた。
さて、これを持って翔ちゃんに渡して…
また、ゴミ屋敷の片付けかぁ。
明日には終わるかな?終わってほしいな。
私が原チャリに乗り込み、出掛けようとした時、
4Tonトラックで翔ちゃんが戻って来た。
「あれ、翔ちゃん。だいぶ早くない?」
車から降りた翔ちゃんは、直ぐさま日傘をさすと暑そうに目を細める。
「ああ、今日は撤収してきた」
何だと?まさか暑いから帰って来たのではないだろうな!
「えっと、何で」
私は暑いからと翔ちゃんが言ったら、とっちめる気構えでいた。
「ああ、暑いから。てのは嘘で、政五郎さんから電話があって例の短刀の件。ある骨董屋で、それらしいの買い取ったって話しだから。これから行こうと思ってな」
ふっ、翔ちゃん命拾いしたね。
「そう、なら私も行くけど。撮影スタッフは?」
「ああ、それなら帰ってもらった。明日が最終だからって言ってな」
やっと明日で終わるのか…助かる。
それじゃあ、助監督の前原とも明日でお別れだな。
明日は、イビリたおしてやる。ムヒっ。

それから、翔ちゃんと私は車を乗り換え、政五郎さんから情報提供された骨董屋に向かった。
もちろん、先程死ぬおもいで撮ってきた写真を翔ちゃんに渡し、彼女の名前が佐々木晶子であることも伝えたうえで。

その骨董屋は、此処からだと西に車で20分ぐらい走ったところにある。
駅前を通るので多少の誤差はあるけれど。
「あそこだな」
翔ちゃんが、路肩パーキングに車を停めて指差す方向に、意外にもお洒落な骨董屋がある。
店の名前は、「道具屋・HARRY」
普通にカフェで通用しそうな外観に驚いた。
「あれが、骨董屋さん」
「ああ、政五郎さんからの情報だから間違いない」
二人は車から降りたち、相合い傘ならぬ日傘で店へと向かった。
店内に入ると、想像以上にお洒落な品々が並べられていた。
雰囲気があって、見ていて楽しくなる。
中には、私は初めて見るものもあった。
得に、四角い大理石の上に真鍮色の金属製の取っ手がついた摩訶不思議な品が。
「翔ちゃん、あれ何」
おもわず、聞いた。
「あん?ああ、あれはレバー式のスイッチ。今で言ったらブレーカかな?」
翔ちゃんも余り解っていないようだ。
「すいません。政五郎さんの紹介でうかがった。久瀬と言います」
店長らしき男性に声をかけ、事情を説明する。
「はい、聞いていますよ。政五郎さんの話しですと、うちで半年前に買い取った短刀について聞きたいとのことでしたが」
店長さんは、30代前半ぐらいだろうか、ふっくらとした体型で口髭がよく似合う顔立ちで、笑うと白い歯がとても素敵。
「ええ、この写真のものと同じ物ですかね」
とりあえず、翔ちゃんは短刀の写真だけを店長さんに見せた。
それを受け取った店長は、素敵な笑顔で「ええ、そうですよ」と言った。
トメお婆さんの大事な短刀が見つかった。
「よかった、それ見せていただけますか?」
「はい、もちろん。少々お待ち下さい」
そう言ってから店長は奥へと消えた。どうやら、短刀だけに金庫で保管しているようだ。
「お待たせしました。こちらになります。お好きなだけ、ご覧になって下さい」
「ありがとうございます」
差し出された短刀を写真と見比べているが、どうやら間違いはないようだ。
あらためて、翔ちゃんは佐々木晶子の写真を懐から取り出す。
「店長、売ったのはこの方ですか?」
澄んだ目が真剣になる。
「そうですね。この方で間違いありません」
はっきりと断言してくれた。
これで、一応は解らないことは調べつくしたが、翔ちゃんはこれからどうしようと思っているのだろうか?
「それじゃあ、これ取り置きしておいて下さい。それと、この短刀の見積書を一枚いただきたいのですが?」
えっ。見積書?
「この短刀は、直ぐさま買い取らせますから」
ええっ誰に?買い取らせる。まさか、あの佐々木晶子?
「はい、畏まりました」

程なく、店長が見積書を翔ちゃんに手渡すと、私達は道具屋を後にする。

・・・・・


作品名:『アフターケア』episode 01 作家名:槐妖