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試作 1

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short 1



「大和の国、ジパングが・・・。」



目の前にあるホログラム式の電子ノートに描かれた先生がまるでその場に居るように、どこかの国の歴史を淡々と説明していく。
ジパングなんて国は今はもう、名前が変わっただとか海の底だとか誰かがこの説明を聞いたときにそういっていたっけな、
俺はというと、ベットの上でごろんとその説明に耳を傾けながら、目を閉じていた。
俺の行く学校は、いろんな専門科目に別れていて俺は、俗に言う普通学科の学生だ。
なんの特別的な授業を受けることもないし、歴史が大好きというごくごく普通の男子学生である。
まあ、友人にはどこかの国で昨日戦争したなんてのも居るが、自分はあえて言うと本当に普通である。

最近学校に行くと、先生の録音メッセージがそこ等中で流れていた。
年に一度の先生達のストライキだと言うことで、このくそが付くほどに大きな学校の構内には先生達の姿は一切なかった。

まぁ、いつものノートへのホログラムのコピーも楽になっていいのだが、
こういう授業の時は、だれもその場に残るものはいない。
そりゃそうだ、これは呈のいい自習授業というものなのだ。

そういう自分も自習はすっぽかして、そのまま自室に引っ込んだのは、言うまでもないが。


ここは、学校の寮の一室。

学校は広大な敷地にあり、人目から避けるわけでもないが人里離れた人工島の上にある。
その為目の前には大きな海が広がるかなりいい景色だ。
人工島には大きな陸橋が本土と繋いでいるだけでもしもそこを攻撃やら、地震などで損害を受ければもう孤立状態になるのは言うまでもない。
が、この学校の授業の特徴上、戦闘機やらいろんなモノや、コトが起こることから人里離しているのも確かに頷ける。

すべての部屋から海が見渡せる臨海ゾーンに位置するこの部屋は一年に一度ある部屋取り合戦では一番争いが起こる場所ともいえるが、
ここ2年間この部屋から一度も移動したことのない自分にはあんまり関係がないっちゃあない。
それに、これからも変わることはないだろうけど。



「でも、ほんと最近暇だよな・・・。」


枕から頭をはずして、またホログラム式の電子ノートへと視線をやる。
そこには、先ほどと同じように歴史の「ミスターTAMURA」がノートのど真ん中に立っていた。
先ほどと引き続いて、ジパングの話を続けている。
俺は、静かにそのホログラムに話掛ける。
普通の人間がこの電子ノートのホログラムシステムに話しかけている姿を見れば、ただの気違いか、何かを復唱していると考えるだろうが、
俺は違う。


「・・・ミスターT,今日は、違う歴史の話にしませんか?」
「胡椒は当時、金と同じくらい・・・、」
「ミスターT、」

そのまま、歴史を語る先生の姿をノートごと、揺らすとノートの中のホログラムでそんな動きに動じるはずもない、映像がその場に座り込んで俺の方を睨みつける。


「・・・ったく、キリシマお前はいつも自分の思い通りに・・・、」
「だって、いつも同じ話をして疲れんのは、あんたのほうだし・・。」
「俺は、ホログラムだから仕方がないだろうが?」


話しかけても、普通なら話せるわけもないホログラムの録音装置がまるで自らの意思を持ち自分に話しかけてくる。
それが、俺の能力である。


霧島透。


コンピュータと会話ができる能力の持ち主。


作品名:試作 1 作家名:山田中央