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疾走を始める道の話。

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呼ばれた気がして振り向いた。
その先には。
風がゆっくりと雲を流していく。
太陽と月はせわしなく回り続けているんだろう。
曇り空の上で。

「もうどこにも行けない」と泣いていた。
どこへ行けばいいのかさえ解らないと。
動くことが出来ない。
誰かに手を引いて欲しいと泣いていた。
ここには鮮やかな空が広がっているのに。

太陽が顔を出した。
雲の切れ間から、顔を出した。
眩しくて手で影を作った。
海が広がっていた。
私は走り出した。

「どこへ行こうか」と笑っていた。
行き先など解らず走り始めている。
指先まで風が走り抜ける。
その先が暗い雲の下だとしても。
突然道が崩れたとしても。

私はいつでも目を開けることが出来る、と。

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作品名:疾走を始める道の話。 作家名:ちはや