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結城 あづさ
結城 あづさ
novelistID. 10814
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赤薔薇の庭

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「2人ってホントは恋人どうしだったりして~」
 梓が冗談混じりで言うと紅明は恐ろしいものでも見たような顔をした。奏は吹き出して笑った。
「長嶋…ソウは」
 紅明がそう言いかけた時、さっきまで笑っていた奏が紅明の背中に蹴りをいれた。それもかなり痛いようで、紅明は「いてっ」と小さく言うと背中をさすった。
 奏は紅明の服の襟を引っ張って梓からは少し遠い所に連れて行って梓に聞こえないように話をした(奏しか口を動かしてないのだが)そしてまた元の場所に戻ってきた。
「ソウってだれ?」
「わりぃ聞かなかったことに…」
 さっきの会話で何があったのか、“ソウ”と言う人物が誰なのか分からないまま終わった。
「ソウってだれ?」
 帰り道に奏に聞いてみた。奏は苦笑いをし「そのうち分かるかな…」と曖昧な返事だけをした。梓は納得が行かないみたいだが「そのうち…ね」とだけ返事をした。

†  †  †

 それから1ヶ月。衝撃的な事実が分かった。
 今日は紅明に付き合って文房具屋に行っていたのだ。ちょうどバイト帰りの奏と出くわし一緒に帰っていた。
 引ったくり現場に遭遇したのである。
 若い女の人の「キャァァァァァ」と言う声を耳にして声の方を見ると、いかにも柔道・空手が出来ます!みたいな熊体型の男がバックを引ったくっていた。それを見て奏は男を追いかけたのだ。
「奏!女じゃ勝てる相手じゃないよ!」
 梓は必死に言ったが聞こえてないのか無視なのか。紅明は寝癖頭を掻きながら奏を無表情で見ていた。
 奏が男を捕まえた。
「浅井さん!止めに行ってくださいよ!?」
「ソウは勝つ」
 また“ソウ”だ。
 ここで梓の頭の中でソウが誰なのか思いついた。
「浅井さん…ソウって…奏?」
「奏は勝つ。奏は男だ。それに柔道の有段者だ」
 紅明が言い終わると同時に奏が男を背負い投げで倒した。紅明は焦りもせず、ただ冷静に110を携帯に入れると通報した。


 110番通報しても来たのは交番の人だけだった。このことに関しては梓が求めるスリルは無かったが、奏については少しスリルがあったと梓は思う。
 女の人が「ありがとうございます」とペコペコ3人に頭を下げてお礼を言ってきた(梓に関しては何もしてないが。)
「奏(かなで)って男なんだ?」
「ほら。そのうち分かったでしょ?」
「何で隠したの?」
「奏(そう)より奏(かなで)って呼ばれる方が好きだから」
 奏は梓の方を向いて手を顔の前で合わせて「これからも奏(かなで)って呼んで」と頼んできたので奏(かなで)と呼ぶことにしよう。
 これで一件落着。
 と思ったが梓は何かを思い出したように顔を真っ赤にさせた。
「私の胸を見たでしょ!?」
「あれは…うん」
「あぁ!もう!パンツの中見せなさい!」
「えぇ!?」
「ついてるんでしょ!?」
「あっやめっここ道端だしっ」

 2人がじゃれあっている内に紅明は煙草を吹かしながら他人のふりをして帰った。もちろん道端で奏はパンツを下ろすことは無かったのだが。


 こうして奏はここに来たのである。


†  †  †

 “レッドローズガーディアン”には変人が集まる。
 もし赤い薔薇が咲き誇る広い庭とまるでヨーロッパの大きな塔のような建物“レッドローズガーディアン”が見えたら。
 あなたは変人への仲間入り。
 部屋の壁からギシギシと今にも建物が壊れそうな音がしたら。
 あなたは“レッドローズガーディアン”の住人なのです。
作品名:赤薔薇の庭 作家名:結城 あづさ