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知ってるか?

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あの泉の噂を知ってるか?
とても醜い天使がいるんだ。
薄い青の翼広げ、水に写る空を見ている。
その瞳はいつも涙でいっぱいだ。


あの森の噂を知ってるか?
とても美しい悪魔がいるんだ。
漆黒の翼広げ、黒く汚い血を見ている。
その瞳はいつも灰色に濁っていた。


あの街の噂を知ってるか?
今は誰も住んでないゴーストタウン。
醜い天使と美しい悪魔の出逢った場所。
それだけの事だけど、二人にとってはとても大きい事になった。


醜い天使は美しい悪魔に恋をした。
泉の水に映る自分の醜い姿、
ずっと空のように綺麗になりたいと願っていた。
そんな願い、叶えてくれる者はいない。
私は、神に見捨てられた堕天使。


美しい悪魔は醜い天使に恋をした。
自分に無い物、それは瞳の輝き。
それを持っている醜い天使が羨ましかった。
森の奥の暗闇の生活なんてつまらない。
俺は、天使になりたい悪魔。



天使は神に逆らうと地に堕とされる。
悪魔は光に当たると灰になる。



醜い天使は青い空を見上げる
美しい悪魔は暗い空を見上げる
同じ空さえ見れないのかと





神様神様、どうか願いを叶えてください

あの方にもう一度会いたいのです。





醜い天使の涙がぽつんと湖に落ちる
美しい悪魔の体にぽつんと雨が落ちる
醜い天使は泣き止まない
雨は降り止まない



光る雨、これは天使のものだ
美しい悪魔の仲間がそう叫ぶ
皆は暗い所へ逃げていく
美しい悪魔は動かない
これはキミの涙なのか


その湖は悪魔界に繋がる
醜い天使の仲間が言っていた
皆は此処に近付かない
醜い天使はずぶ濡れに
今すぐアナタに会いたい



美しい悪魔はもうずっと光る雨の中。
醜い天使は深い深い湖の中



二人は再び出会う
光る雨の中で
醜い天使の羽はもう使えない
本当に堕天使になってしまったんだ
美しい悪魔の体は消えかけている
光に当たりすぎてしまったんだ



これは天使の涙
この涙を流す限りキミは僕の天使だ



美しい悪魔は灰になった。
醜い堕天使はその灰をすくう。
灰の中に、硝子の欠片を見つけた。
醜い堕天使は、天使の涙を流す。

醜い堕天使は意識が遠くなる
紅い血が体を伝っている。



硝子の欠片は、美しい天使の胸に刺さっていた。














あの山の噂を知ってるか?
5000年に一度、雪の降る冬に噴火する。
その時に降る灰は美しい悪魔の物、
その時に流れる溶岩は醜い堕天使の血。
その時に降っている雪は硝子の欠片。
中では二人が眠っているらしい
あの山を登ると、願い事が叶うと言われている。
でも、誰も登る者はいない。



その代わりに大切な物を一つ奪われてしまうから。




作品名:知ってるか? 作家名:lalilu