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A

「さようならカタナ。もう二度と会うことは、ない。」

　雨上がりの空に虹が生まれ、桜の花びらを纏った春の風が未だ漂っていた湿気を吹き飛ばす。

「カタナの情報は、歴史は、記録は、一切が抹消された。」
　目を細めるようにして見つめた先のシオンは、
　眩いばかりの光の中、
　風になびく黒髪の中、
　春の日差しの中、
　桜吹雪の中、
　――別れを告げた。
「だが、私が忘れない。カタナのことを、決して忘れはしない。」

　その顔に優しい微笑みを浮かべて――。